2017年5月9日火曜日

関関同立対決:同志社大グローバル・コミュニケーション学部VS関西学院大国際学部

 関関同立の中の「上位校」として比べられることの多い、同志社大と関西学院大。そのなかで、同志社大グローバル・コミュニケーション学部と関西学院大国際学部の両方に合格した場合、どちらに進学するのが良いかという観点から比較していきたい。
(一般的な評価は「同志社大が優勢」という評価のようだが、果たしてその評価が正しいのか検証していく)。


※各指標の定義・根拠・出典等については、こちらのページをご覧ください。
 また、スマートフォンで閲覧する場合は、画面を横にすると各指標が見やすいです。


「入学段階では、どちらが優秀な学生が集まっているか」

項目名数値単位数値年度同志社大学
グローバル・
コミュニケーション
学部
関西学院大学
国際学部
大学全体の学部生数(人)大学20152673323122
学部の学生数(人)学部20156161275
入試難易度(河合塾)学部201662.562.5
入試難易度(駿台)学部20166058
入試難易度(ベネッセ)学部20167773
入学者数(人)学部2016144338
競争入試での入学者(人)学部20166893
競争入試の割合(%)学部201647.20%27.50%
現役入学者の比率(%)学部201683.381.7

 入試難易度は同志社大グローバル・コミュニケーション学部の2勝1分となっている。「優秀な学生が集まっているか」という観点からは、同志社大グローバル・コミュニケーション学部に軍配が上がる。
 なお、「競争入試の割合」は同志社大グローバル・コミュニケーション学部の方が圧倒的に高い。予備校が出している難易度以上の差があるとみていいかもしれない。
(一般入試、センター試験利用入試などの「競争入試」で入学する学生の方が、推薦入試や附属高上がりの学生よりも学力が高いケースが多く、競争入試の割合を下げることにより偏差値を高く見せる大学があため、本ブログでは、競争入試の割合を比較している)


「費用対効果はどちらが高いか」

項目名数値単位数値年度同志社大学
グローバル・
コミュニケーション
学部
関西学院大学
国際学部
4年間でかかる学費(万円)学部2015460521
学生還元率(%)大学201540.40%35.10%
奨学費(円)大学20151,741,210,343996,236,718
学生一人当たりの奨学費(円)大学20156513343086
卒業率(%)学部201481.482
最寄駅の平均家賃(万円)20163~3.54~4.5

 4年間でかかる学費については、関西学院大国際学部が61万円ほど高い金額となっているが、学科や専攻によって学費が違う可能性があるため、詳細な比較は各大学のホームページをご確認いただきたい。
 一方で、学生還元率や一人当たりの奨学費は同志社大が多く、「学生が払った学費をどれだけ学生のために使っているか」という観点からは、同志社大に軍配が上がる。
 なお、キャンパス周辺の家賃を比較してみると、同志社大グローバル・コミュニケーション学部の方が少し割安となると思われる。
 また、留年リスク(4年間で卒業できない比率)については、関西学院大国際学部の方が低い。ただし、1%弱の差でしかないため、判断材料にはならないだろう。
 上記を総合すると、コストパフォーマンス面では、同志社大グローバル・コミュニケーション学部の方が優位とみていいだろう。


「どちらの大学が充実した学生生活を過ごせるか」

項目名数値単位数値年度同志社大学
グローバル・
コミュニケーション
学部
関西学院大学
国際学部
キャンパス学部2016京田辺【郊外型】西宮上ケ原【中間型】
1年以内退学率(%)学部201400.7
4年間退学率(%)学部20148.62.5
入学者の地元占有率(%)学部201613.932.4
女子入学者の割合(%)学部201660.464.2
大学全体の女子学生数(人)大学20161134911390
大学全体の男子学生数(人)大学20161570412108
大学全体の女子学生比率(%)大学201642.00%48.50%
女性ファッション誌登場人数(人)大学20111945
受入留学生数(人)学部201564122
留学生比率
(留学生数/全学生数)
学部201610.40%9.60%
長期留学派遣学生数(人)大学201523396
長期留学派遣の割合(%)大学20153.50%1.70%
ST比(人)学部20152229
専任教員数(人)学部20152844
一人当たり貸出冊数(冊)大学201511.912.6

<キャンパスの立地>
 同志社大グローバル・コミュニケーション学部は京都駅からのアクセスだと近鉄で30分の興戸駅から徒歩15分の「京田辺キャンパス」で4年間を過ごす。率直に言うと、アクセスはあまりよくない。その分、緑いっぱいの広大なキャンパスで伸び伸びとした学生生活を送ることができる。研究をしたい理系学生にとっては悪い環境ではない。
 一方の、関西学院大学はオシャレなキャンパスとして知られる「西宮上ケ原キャンパス」で4年間を過ごす。阪急今津線甲東園駅、仁川駅から徒歩15分で、アクセス面では、少し都市部から離れており、キャンパス外にほとんどお店などはない。しかし、キャンパス内の売店などは充実しており、なんでもキャンパス内で済ませられるようになっているため、大きな不便はないだろう。
 キャンパスの立地については、京都府と兵庫県で単純比較は難しいが、単純な交通の便で言えば関西学院大国際学部が優位とえよう。しかし、価値観によってどちらが良いと思うかは異なると思われるため、実際に足を運んで、自分の目でキャンパスを確認することをおすすめする。

<ドロップアウトリスク>
 続いて、誰しも避けては通れない、ドロップアウトのリスク。せっかく頑張って勉強して大学に入学したのに、退学してしまっては元も子もない。双方とも大規模大学であるため、退学率は注視すべきデータであるが、1年退学率は同志社大グローバル・コミュニケーション学部の方が低く、4年退学率は関西学院大国際学部の方が低い。同志社大グローバル・コミュニケーション学部の4年退学率がやや高いのが気になるところである。

<学生の属性>
 学生の属性を比較していくと、関西学院大国際学部の女子学生比率が4%ほど高い(大学全体としての差は6%)が、僅差であるため、大きな判断材料にはならないだろう。
 また、外国人留学生の割合については、同志社大グローバル・コミュニケーション学部大が勝っているが双方とも高いレベルにある。両大学とも極めて高い「国際的な学習環境」が整っているといえるだろう。

<教育面>
 教育面を比較していくと、現在、各大学が競うように力を入れている「留学」については、同志社大に軍配が上がる。長期留学派遣比率で2倍以上の差があるからだ。先輩の学生が留学に行っている割合が多ければ、自然と留学が身近になるため、もし留学をしたいと考えているのであれば、留学している比率の高い方へ行くというのも一つの手だろう。
 一方、専任教員一人当たりの学生数(ST比)を比較すると、同志社大グローバル・コミュニケーション学部が低い。同志社大グローバル・コミュニケーション学部の方がより「少人数教育」の環境が整っているといえる。
 なお、学生がどれだけ勉強しているかの指標の一つである「一人当たりの貸出冊数」については、僅差であるものの、関西学院大が勝っている。

 実際の教育効果については、比較が難しいが、大学通信社が進学校の進路指導教員に「進学して伸びた大学」と「進学して伸び悩んだ大学」をアンケートしている。
 2014年10月に実施したアンケートでは、「進学して伸びた」と答えた数は、同志社大が18人、関西学院大が6人、一方で「進学して伸び悩んだ」と答えた数は、同志社大が9人、関西学院大が8人であり、高校側の印象では、やや同志社大が優勢である。
 その他の比較としては、同じく大学通信社による2014年度「入学後、生徒の満足度が高い大学」ランキング(進学校の進路指導教員が投票することで選定)において、同志社大は16位(37ポイント)、関西学院大は36位(14ポイント)となっている。こちらも、同志社大がやや優位のようだ。

 上記を総合すると、充実したキャンパスライフという観点から見ると、ほぼ互角か、やや同志社大グローバル・コミュニケーション学部が優勢という印象である(キャンパスの立地面では関西学院大優位だが、それ以外は同志社大優位の印象を受ける)。


「どちらが幸せな人生を送れる進路に進めるか」

項目名数値単位数値年度同志社大学
グローバル・
コミュニケーション
学部
関西学院大学
国際学部
主要企業400社への就職率(%)大学201632.528.2
卒業生数(人)学部2015135352
進学者数(人)学部201529
進学率(%)学部20151.50%2.60%
公務員就職者数(人)学部201517
公務員就職比率(%)学部20150.70%2.00%
警察官就職者数(人)大学20151930
国家公務員総合職(人)大学2015269
CA採用数(人)大学20141131
国会議員の数(人)大学201535
上場企業の社長数(人)学部2006数値なし(5人以下)数値なし(5人以下)
社長の数(人)大学201555613576
社長になりやすさ
(社長の数/学生数)
大学20150.210.15
上場企業の役員数(人)学部2006数値なし(46人以下)数値なし(46人以下)
上場企業の役員数(人)大学2015472399
上場企業の役員になりやすさ
(上場企業役員数/学生数)
大学20150.0180.017

<大企業に入りたい>
 大企業社員として就職すれば、身分は安定し、給与・福利厚生などの待遇面での心配も少ない。その意味で、主要400社への就職率を比較材料として示しているが、同志社大が4%程度高い数字が出ている。

<公務員になりたい>
 学部単体の公務員就職比率は、関西学院大国際学部の方が高い数字が出ており、公務員就職で優位に立っている。

<主要な就職先の比較>

同志社大学
グローバル・コミュニケーション学部
関西学院大学
国際学部
三井住友銀行三井住友銀行
三菱東京UFJ銀行全日本空輸
日本生命保険東京海上日動火災保険
京都銀行楽天
みずほフィナンシャルグループ
東京海上日動火災保険
国家公務員
りそなグループ
南都銀行
損害保険ジャパン日本興亜
※同志社大は文系学部全体のデータ

 主要就職先は、なお、同志社大の就職先リストは「文系学部全体」のデータとなっているため、単純比較はできない。関西学院大国際学部の方は、航空会社や英語の社内公用語化を宣言した楽天などが名を連ねており、学部で学んだことを生かす進路に進んでいるようである。両者とも就職実績は良好といえよう。

<出世した先輩の多さ>
 先輩がどの程度、出世しているかを比較すると、同志社大に軍配が上がる。半ば都市伝説として語られることも多い「学閥」であるが、もし存在するのであればその大学の出身者は有利になる。一方で「学閥」が実際はないのであれば、先輩たちが実力で出世していったということにもなり、その大学の出身者が周りから高く評価されていることにもなる。そういう意味で、「上場企業の役員になりやすさ」等は同志社大の方が高く、もし出世を期待するのであれば同志社大学経済学部の方が少しは有利かもしれない。もちろん、企業によって事情は異なるし、関西学院大だからといって不利になることはないだろうが、あくまでも「少しは」といった程度である。


<どちらの大学が頑張って「改革」しているか>

項目名数値単位数値年度同志社大学
グローバル・
コミュニケーション
学部
関西学院大学
国際学部
国からの特別補助金支給額
(千円)
大学2015583,280639,494
学生一人当たり
特別補助金支給額(千円)
大学20152228

 大学教育の現場では、随分前から「改革の必要性」が叫ばれている(大手大学ほど、その改革が進んでいないともいわれる…)。その観点でどちらが頑張って「改革」しているかを、最後に見てみたい。扱うデータは、改革を行っている大学に国から支給される「特別補助金」の額である。
 この数値を比較すると、関西学院大が勝っており、改革で先行しているイメージがある。
 なお、大学通信社による2014年度「改革力が高い大学」ランキング(進学校の進路指導教員が投票することで選定)においては、同志社大が17位(21ポイント)、関西学院大はランク外(51位以下、6ポイント以下)であり、高校現場の印象では、同志社大の改革イメージが強いようだ。

<まとめ>
 以上、同志社大グローバル・コミュニケーション学部と関西学院大国際学部を比較してみてきた。全体としては、僅かばかり同志社大グローバル・コミュニケーション学部が優勢の印象を受けるが、差は僅差である。実際にキャンパスに足を運び、自分の目で大学の雰囲気等を確認した上で判断することをお勧めしたい。