2019年3月10日日曜日

奨学金延納率のデータから垣間見える「悲しい現実」

 2年近く前のことですが、日本学生支援機構が「学校毎の貸与及び返還に関する情報」を公表し、大学業界はざわつきました。

 いわゆる、奨学金返還の延滞率を公表することで、返還意識を醸成していきましょうという試みなのですが、遅ればせながら、本ブログ独自の視点からこの数字を見ていきたいと思います。

 それは、貸与率=貸与奨学金利用者/全学生数の数字です。 この数字は、言ってみれば借金をして進学している割合(苦学生の割合)と読み取ることもできます。

 地域ごとにこの数字は異なりますが、同地域間では「親の平均年収」のランキングとも似ているのではないか、とも思われます。



関東の大学間での比較
学生数貸与者数貸与率延納率1延納率2
東洋27203955635.1%1.4%1.1%
専修18067632035.0%2.1%1.7%
筑波9579310432.4%0.9%0.8%
駒澤14982478331.9%1.5%1.6%
日本732712131929.1%1.5%1.4%
横浜国立7257203128.0%0.7%0.8%
明治29718791826.6%1.4%1.1%
千葉10629275625.9%0.7%0.5%
法政32481809324.9%1.4%1.2%
中央28241668023.7%1.0%1.1%
立教19224454023.6%0.8%0.8%
早稲田41441965023.3%1.2%1.0%
青山学院17409371321.3%1.7%1.5%
学習院8123164220.2%0.5%0.9%
一橋419369916.7%0.6%0.4%
上智12068197616.4%1.0%1.1%
東京13724216615.8%0.6%0.5%
慶應36656444912.1%0.9%0.9%
関西の大学間での比較
学生数貸与者数貸与率延納率1延納率2
近畿315531395344.2%1.6%1.4%
京都産業12889566744.0%1.6%1.4%
龍谷18802812143.2%1.5%1.1%
甲南9048385542.6%1.1%0.7%
関西286421166140.7%1.3%1.1%
立命館323011141035.3%1.3%1.1%
関西学院22683766033.8%1.2%1.0%
同志社26144763729.2%1.0%0.9%
神戸11504315827.5%0.8%0.8%
大阪15189378824.9%0.7%0.5%
京都13245287421.7%0.7%0.6%
全国平均265894797646736.7%1.7%1.4%



出典 https://www.jasso.go.jp/shogakukin/gakkobetujouhou/index.html
(延納率のデータは2018年に更新されていますが、本ブログでは諸事情により2017年度に公開されたデータを使用しています)
 そのような観点でみてみると、いわゆる偏差値の高い大学ほど、親の平均年収は高い、という学力の「経済格差」の問題も見えてきます。
(機構の奨学金には「無利子」もあり、それは高校の成績が良い人が多く採用される傾向にあります。 となると、本来は偏差値の高い大学も貸与率が低くなる必然性はないと考えられ、やはり「奨学金を借りる必要がないほど親の年収が高い」と解釈するのが自然かと思います)

 本ブログでこの数字をとり上げた理由は、そういった悲しい現実に着目するものではなく、 家計が裕福でない受験生にとっては「仲間はこれだけいる」と感じてもらうことです。

 本ブログでの大学比較の際、「苦学生にとっては●●大学の方が良いかもしれない」と書いてきましたが、そのような受験生にとって参考となる情報であれば幸いです。