2017年5月22日月曜日

産近甲龍対決:京都産業大経営学部VS龍谷大経営学部

 いわゆる「産近甲龍」のうち、同じ京都の大学同士として比べられることの多い、京都産業大と龍谷大。今回は両校の「経営学部」に合格した場合、どちらに進学するのが良いかという観点から比較していきたい。
(一般的な評価は「龍谷大が優勢」という評価のようだが、果たしてその評価が正しいのか検証していく)。


※各指標の定義・根拠・出典等については、こちらのページをご覧ください。
 また、スマートフォンで閲覧する場合は、画面を横にすると各指標が見やすいです。


「入学段階では、どちらが優秀な学生が集まっているか」

項目名数値単位数値年度京都産業大学
経営学部
龍谷大学
経営学部
大学全体の学部生数(人)大学20151288817524
学部の学生数(人)学部201528462118
入試難易度(河合塾)学部20164550
入試難易度(駿台)学部20164548
入試難易度(ベネッセ)学部20165461
入学者数(人)学部2016613504
競争入試での入学者(人)学部2016299248
競争入試の割合(%)学部201648.80%49.20%
現役入学者の比率(%)学部201691.894.8

 入試難易度は3社とも龍谷大経営学部が上の数値を出している。それも、結構な差が出ているため、「優秀な学生が集まっているか」という観点からは、龍谷大経営学部に軍配が上がる。


「費用対効果はどちらが高いか」

項目名数値単位数値年度京都産業大学
経営学部
龍谷大学
経営学部
4年間でかかる学費(万円)学部2015398403.0
学生還元率(%)大学201533.60%34.90%
奨学費(円)大学2015360,491,399770874120
学生一人当たりの奨学費(円)大学20152797143990
卒業率(%)学部20147681
最寄駅の平均家賃(万円)20164~4.54~4.5

 4年間でかかる学費については、京都産業大経営学部が5万円ほど安い。ただし、この程度の差であれば学費値上げなどがあれば簡単に逆転される差でしかない(学科や専攻によって学費が違う可能性があるため、詳細な比較は各大学のホームページをご確認いただきたい)。
 また、学生還元率や一人当たりの奨学費については、龍谷大が多く、「学生が払った学費をどれだけ学生のために使っているか」という観点からは、龍谷大に軍配が上がる。
 なお、キャンパス周辺の家賃を比較してみると、ほとんど同じであり、下宿コストについての差はつかないだろう。
 留年リスク(4年間で卒業できない比率)については、龍谷大経営学部が4%程度低い。大きな差ではないが参考にはなる数字である。
 以上を総合し、コスト面をトータルで考えると、互角といえるだろう。


「どちらの大学が充実した学生生活を過ごせるか」

項目名数値単位数値年度京都産業大学
経営学部
龍谷大学
経営学部
キャンパス学部2016神山【中間型】深草【都市型】
1年以内退学率(%)学部20140.50.8
4年間退学率(%)学部20146.57
入学者の地元占有率(%)学部201628.724.8
女子入学者の割合(%)学部201633.843
大学全体の女子学生数(人)大学201640127279
大学全体の男子学生数(人)大学2016879411954
大学全体の女子学生比率(%)大学201631.30%37.80%
女性ファッション誌登場人数(人)大学2011数値なし
(2人以下)
数値なし
(2人以下)
受入留学生数(人)学部20155113
留学生比率
(留学生数/全学生数)
学部20161.80%0.60%
長期留学派遣学生数(人)大学20159677
長期留学派遣の割合(%)大学20153.00%1.80%
ST比(人)学部20157348.1
専任教員数(人)学部20153944
一人当たり貸出冊数(冊)大学201511.310.8

<キャンパスの立地>
 京都産業大経営学部は京都市内の地下鉄国際会館駅からバスで約10分の「神山キャンパス」で4年間を過ごす。交通の便は良いとは言えないが、その分、広々したキャンパスで、周囲は京都の落ち着いた雰囲気を感じつつ、学生生活を送ることができる。付近に店はあまりないため、歓楽街などはキャンパスから少し離れた場所まで繰り出すことになるが、京都市内の大学の大半は同じなので、デメリットではないだろう。
 一方の龍谷大経営学部は、京都駅から程近い、京阪電鉄深草駅・JR稲荷駅・地下鉄くいな橋駅の3駅利用可のアクセル良好な「深草キャンパス」で4年間を過ごす。アクセス面では都市型キャンパスといえるが、周囲の環境は静かな環境で、学生生活を送るのには悪くない環境である。周囲のお店の数は多いとは言えないが、少ないわけではない。京都市内の大規模大学のキャンパスとしては、上位レベルの利便性・環境の良さと言えるだろう。
 キャンパスの立地については、京都産業大の神山キャンパスも悪くはないが、利便性の高い龍谷大深草キャンパスと比べるならば、龍谷大の方が優位とえよう。しかし、京都産業大の神山キャンパスの緑に囲まれた環境も魅力的ではあり、結局は両方に足を運んで実際に自分の目で見た方がいいかもしれない。

<ドロップアウトリスク>
 続いて、誰しも避けては通れない、ドロップアウトのリスク。せっかく頑張って勉強して大学に入学したのに、退学してしまっては元も子もない。双方とも大規模大学であるため、退学率は注視すべきデータであるが、京都産業大経営学部が低くなっている。ただし、僅差であるため、判断材料にはならないだろう。

<学生の属性>
 学生の属性を比較していくと、女子学生比率については、学部単位では龍谷大経営学部が10%程度高く、大学単位でも龍谷大の女子学生比率が6%ほど高い。教室内、キャンパス内の華やかさでは龍谷大経営学部が上であろう。
 なお、留学生比率については、京都産業大経営学部が上であり、国際的な学習環境という意味では、京都産業大経営学部に軍配が上がる。

<教育面>
 教育面を比較していくと、現在、各大学が競うように力を入れている「留学」については、京都産業大に軍配が上がる。龍谷大と比べて1.6倍の留学生派遣比率であり、僅かな差とはいえない数字である。先輩の学生が留学に行っている割合が多ければ、自然と留学が身近になるため、もし留学をしたいと考えているのであれば、注目したい数値であり、一つの判断材料にもなりうるだろう。
 専任教員一人当たりの学生数(ST比)を比較すると、こちらは大差で龍谷大経営学部が勝っている。しかし、龍谷大経営学部が優れているという数値ではなく、京都産業大経営学部の数値が高すぎである印象を受ける。この数値で見る限り、京都産業大は「少人数教育」の環境が整っているとは言えない状況だ。
 なお、学生がどれだけ勉強しているかの指標の一つである「一人当たりの貸出冊数」については、京都産業大の方が勝っている。ただし、差はわずかであり、優劣をつけるほどではないだろう。

 その他の比較としては、大学通信社による2014年度「入学後、生徒の満足度が高い大学」ランキング(進学校の進路指導教員が投票することで選定)において、京都産業大は47位(11ポイント)、龍谷大はランク外(10ポイント以下)となっている。こちらでは、京都産業大がやや優位のようだ。

 上記を総合すると、充実したキャンパスライフという観点から見ると、龍谷大経営学部が優位といえるだろう。



「どちらが幸せな人生を送れる進路に進めるか」

項目名数値単位数値年度京都産業大学
経営学部
龍谷大学
経営学部
主要企業400社への就職率(%)大学201611.710%以下
卒業生数(人)学部2015644455
進学者数(人)学部201593
進学率(%)学部20151.40%0.70%
公務員就職者数(人)学部20152416
公務員就職比率(%)学部20153.70%3.50%
警察官就職者数(人)大学20157152
国家公務員総合職(人)大学2015数値なし
(1人以下)
数値なし
(1人以下)
CA採用数(人)大学2014数値なし
(8人以下)
数値なし
(8人以下)
国会議員の数(人)大学201502
上場企業の社長数(人)学部2006数値なし
(5人以下)
数値なし
(5人以下)
社長の数(人)大学201521361107
社長になりやすさ
(社長の数/学生数)
大学20150.170.06
上場企業の役員数(人)学部2006数値なし
(46人以下)
数値なし
(46人以下)
上場企業の役員数(人)大学20158763
上場企業の役員になりやすさ
(上場企業役員数/学生数)
大学20150.0070.004

<大企業に入りたい>
 大企業社員として就職すれば、身分は安定し、給与・福利厚生などの待遇面での心配も少ない。その意味で、主要400社への就職率を比較材料として示しているが、京都産業大は2ケタ以上の数値を誇っており、龍谷大と比較して優れているといえる。

<公務員になりたい>
 学部単体の公務員就職比率は、ほぼ同率で互角といえる。

<主要な就職先の比較>

京都産業大学
経営学部
龍谷大学
経営学部
日本郵政グループ京都中央信用金庫
京都銀行りそな銀行
大和ハウス工業京都銀行
滋賀銀行みずほフィナンシャルグループ
三井住友銀行三菱東京UFJ銀行
関西アーバン銀行コクヨ
キューピー三井住友銀行
財務専門官京セラ
塩野義製薬月桂冠
村田製作所国税庁

 主要就職先は、双方とも金融機関が目立つ。京産大と龍谷大は、関東では「日東駒専」クラスとも言われたりするが、それらの大学の主要就職先と比較してみても、両学部の就職実績は良好と言っていいだろう。

<出世した先輩の多さ>
 先輩がどの程度、出世しているかを比較すると、京産大経営学部に軍配が上がる。大きな差ではないが、社長数や役員数は京産大の大きな武器であることは間違いないだろう。


<どちらの大学が頑張って「改革」しているか>

項目名数値単位数値年度京都産業大学
経営学部
龍谷大学
経営学部
国からの特別補助金支給額
(千円)
大学2015225,533206,445
学生一人当たり
特別補助金支給額(千円)
大学20151712

 大学教育の現場では、随分前から「改革の必要性」が叫ばれている(大手大学ほど、その改革が進んでいないともいわれる…)。その観点でどちらが頑張って「改革」しているかを、最後に見てみたい。扱うデータは、改革を行っている大学に国から支給される「特別補助金」の額である。
 この数値を比較すると、京都産業大が勝っており、改革で先行しているイメージがある。
 なお、大学通信社による2014年度「改革力が高い大学」ランキング(進学校の進路指導教員が投票することで選定)においては、京都産業大と龍谷大ともに44位(8ポイント)であり、高校現場の印象では、互角の結果となっている。

<まとめ>
 以上、京都産業大経営学部と龍谷大経営学部を比較してみてきた。全体としては、やはり龍谷大経営学部が優位であると言える。全般的に龍谷大経営学部に死角がないような印象を受けており、そういった意味では偏差値に関係なくおすすめできる大学といえるかもしれない。しかし一方で、産業界への社長・役員輩出率など、京産大が勝っている部分も少ないわけではないため、もし判断に迷うようであれば、キャンパス見学を行ってみることをおすすめしたい。