2017年4月8日土曜日

日東駒専対決:専修大文学部VS日本大文理学部

 関東の大手大学のうち、いわゆる「日東駒専」の中で永らくライバルとされてきた専修大学と日本大学。今回は専修大文学部と日本大文理学部に合格した場合、どちらに進学するのが良いかという観点から比較していきたい。


※各指標の定義・根拠・出典等については、こちらのページをご覧ください。
 また、スマートフォンで閲覧する場合は、画面を横にすると各指標が見やすいです。


「入学段階では、どちらが優秀な学生が集まっているか」

項目名数値単位数値年度専修大学
文学部
日本大学
文理学部
大学全体の学部生数(人)大学20151755767251
学部の学生数(人)学部201531758693
入試難易度(河合塾)学部20165052.5
入試難易度(駿台)学部20164951
入試難易度(ベネッセ)学部20166265
入学者数(人)学部20167982116
競争入試での入学者(人)学部20166091294
競争入試の割合(%)学部201676.30%61.20%
現役入学者の比率(%)学部201687.285.1

 入試難易度は3社とも日本大文理学部が上の数値を出している。「優秀な学生が集まっているか」という観点からは、日本大文理学部に軍配が上がる。
 ただし、偏差値操作の手法として用いられる、「競争入試の割合」については、日本大文理学部の方が10%以上低い。一方で「入学定員」については、日本大文理学部の方が2倍以上と多い。偏差値バイアス要素としては、差し引きゼロで、基本的には各予備校が出す難易度をそのまま信じてい良いということになる。
(一般入試、センター試験利用入試などの「競争入試」で入学する学生の方が、推薦入試や附属高上がりの学生よりも学力が高いケースが多く、競争入試の割合を下げることにより偏差値を高く見せる大学もある。また、募集定員が多い方が偏差値が下がってしまう傾向にあるため、本ブログでは、「競争入試の割合」と「募集定員」を比較するようにしている。)


「費用対効果はどちらが高いか」

項目名数値単位数値年度専修大学
文学部
日本大学
文理学部
4年間でかかる学費(万円)学部2015442534
学生還元率(%)大学201529%以下61%以下
奨学費(円)大学2015数値なし数値なし
学生一人当たりの奨学費(円)大学2015数値なし数値なし
卒業率(%)学部201477.981.1
最寄駅の平均家賃(万円)20163.5~45.5~6

 4年間でかかる学費については、専修大文学部の方が92万円程度安い(学科や専攻によって学費が違う可能性があるため、詳細な比較は各大学のホームページをご確認いただきたい)。
 なお、学生還元率や奨学費のデータについては、専修大、日本大の双方とも公式HPからはデータが取れなかったため、比較はできない(情報公開が社会的責任として求められている大学においては、少なくとも「奨学費」くらいのデータは公開してほしいものである…)。
 キャンパス周辺の家賃を比較してみると、コスト的には専修大文学部の方が安くなると思われる(大学と住居が近ければ利便性も高く、充実した学生生活になる可能性が高いという考えからこの家賃相場を比較している)。
 留年リスク(4年間で卒業できない比率)については、専修大文学部が3%程度高い。大きな差ではないため、気にするほどの差ではないだろう。
 以上、コストパフォーマンス的には、学費の差を考えると、専修大文学部が有利とみられる。


「どちらの大学が充実した学生生活を過ごせるか」

項目名数値単位数値年度専修大学
文学部
日本大学
文理学部
キャンパス学部2016生田【郊外型】桜上水【中間型】
1年以内退学率(%)学部20141.31
4年間退学率(%)学部20147.26.4
入学者の地元占有率(%)学部201629.132.6
女子入学者の割合(%)学部201651.440.6
大学全体の女子学生数(人)大学2016676221427
大学全体の男子学生数(人)大学20161236646482
大学全体の女子学生比率(%)大学201635.40%31.60%
女性ファッション誌登場人数(人)大学20115497
受入留学生数(人)学部201537152
留学生比率
(留学生数/全学生数)
学部20161.20%1.70%
長期留学派遣学生数(人)大学201515134
長期留学派遣の割合(%)大学20150.30%0.80%
ST比(人)学部201535.729.8
専任教員数(人)学部201589292
一人当たり貸出冊数(冊)大学2015数値なし4.7

<キャンパスの立地>
 専修大文学部は、川崎市の生田キャンパスで4年間を過ごす。小田急線の「向ヶ丘遊園」から徒歩15分の「郊外型キャンパス」となっている。窮屈感はなくのびのび4年間を過ごせるだろう。
 一方で、日本大文理学部は、京王線の下高井戸駅か桜上水駅から徒歩10分の場所にキャンパスを構える。田舎ではないが、都心部にあるとも言えない「中間型」のキャンパスである。文理学部だけで1万人近くの学生数がいるため、一つの大学として成り立っており、周囲には学生街もあり便利な面もある。ただし難点はキャンパス面積の割に学生数が多いことか。少し手狭な印象は受ける。
 両者を比較すると、キャンパスの立地については、日本大文理学部の方が利便性などにおいて上といえるだろう。

<ドロップアウトリスク>
 続いて、誰しも避けては通れない、ドロップアウトのリスク。せっかく頑張って勉強して大学に入学したのに、退学してしまっては元も子もない。双方とも大規模大学であるため、退学率は注視すべきデータであるが、日本大文理学部がやや低い。しかし、4年トータルでみるほとんど差はないため、判断材料にはならないだろう。

<学生の属性>
 次に、学生の属性を比較していくと、女子学生の比率は10%ほど専修大文学部の方が高い。
 受入留学生の比率については、日本大文理学部が高く、「国際的な教育環境」という観点では、やや日本大文理学部が優位と言えるだろう。

<教育面>
 次に、教育面を比較していくと、現在、各大学が競うように力を入れている「留学」については、長期留学している学生の割合は日本大学の方が高い。先輩の学生が留学に行っている割合が多ければ、自然と留学が身近になるため、もし留学をしたいと考えているのであれば、注目したい数値であり、一つの判断材料にもなりうるだろう。
 また、専任教員一人当たりの学生数(ST比)は日本大文理学部が低く、「少人数教育の環境」は日本大文理学部が優位といえる。
 なお、学生がどれだけ勉強しているかの指標の一つである「一人当たりの貸出冊数」については、専修大のデータがないため、日本大のデータのみだが、4.7冊でやや少ない印象である。日本大の場合、学生数が膨大であるため低く出る可能性はあるが、恐らく一番の理由はキャンパスが点在しており、大きな図書館を整備できないことがあるような気がする(あくまでも推測であるが…)。

 上記を総合すると、充実したキャンパスライフという観点から見ると、日本大文理学部が優勢のような印象だろうか。


「どちらが幸せな人生を送れる進路に進めるか」

項目名数値単位数値年度専修大学
文学部
日本大学
文理学部
主要企業400社への就職率(%)大学201610%以下10%以下
卒業生数(人)学部20156942026
進学者数(人)学部201522108
進学率(%)学部20153.20%5.30%
公務員就職者数(人)学部201524100
公務員就職比率(%)学部20153.50%4.90%
警察官就職者数(人)大学201556172
国家公務員総合職(人)大学201543
CA採用数(人)大学2014数値なし(8人以下)11
国会議員の数(人)大学2015829
上場企業の社長数(人)学部2006数値なし(5人以下)数値なし(5人以下)
社長の数(人)大学2015398522582
社長になりやすさ
(社長の数/学生数)
大学20150.230.34
上場企業の役員数(人)学部2006数値なし(46人以下)数値なし(46人以下)
上場企業の役員数(人)大学2015167610
上場企業の役員になりやすさ
(上場企業役員数/学生数)
大学20150.010.009

<公務員になりたい>
 学部単体の公務員就職比率は、日本大文理学部の方が高い数字が出ているが、大きな差とまでは言えないため、公務員になりたいからといって日本大を選ぶ理由にはならないだろう。なお、日本大文理学部においては、教員が多いようである。

<主要な就職先の比較>

専修大学
文学部
日本大学
文理学部
日本郵便日本ハム
トランス・コスモス京セラ
ノジマ日本IBM
日本生命保険富士通
三井住友銀行東京ガス
臨海日本放送協会
トラスコ中山全日本空輸
ファミリーマート東日本旅客鉄道
三菱東京UFJ銀行東京都教育委員会
警視庁神奈川県教育委員会

 主要就職先については、双方とも多様な業種が並んでいる。あくまでも、感覚的なものであるが、就職先実績を見る限りは、日本大学文理学部の方が就職実績が勝っているような印象を受ける。
 ただし、いわゆる「学歴フィルター」の対象としては、専修大文学部と日本大文理学部で大きく差がつくことは考えられないため、いかに充実した(中身のある)大学生活を送るかによって、大企業に就職できるか・できないかは変わってくる。大企業に就職したいからという理由で日本大文理学部を選ぶ判断材料にはなりえないだろう。

<出世した先輩の多さ>
 双方とも歴史がある大学であり、上場企業の役員などを「大学全体」として輩出している。学生数の違いを加味した上で比較すると、ほぼ互角である。
 ただし、日本大学は日本最大の大学であり、全国にOB・OGが存在し、大企業であればほぼすべての企業に卒業生がいるとも言われている。この事実は強みになるだろう。もちろん、企業によって事情は異なるし、専修大文学部だからといって不利になることはないだろうから、あくまでも両者を比較した場合の話である。


<どちらの大学が頑張って「改革」しているか>

項目名数値単位数値年度専修大学
文学部
日本大学
文理学部
国からの特別補助金支給額
(千円)
大学2015170,4731,479,950
学生一人当たり
特別補助金支給額(千円)
大学20151022

 大学教育の現場では、随分前から「改革の必要性」が叫ばれている(大手大学ほど、その改革が進んでいないともいわれる…)。その観点でどちらが頑張って「改革」しているかを、最後に見てみたい。扱うデータは、改革を行っている大学に国から支給される「特別補助金」の額である。
 この数値を比較すると、日本大が勝っており、改革で先行しているイメージがある。
 なお、大学通信社による2014年度「改革力が高い大学」ランキング(進学校の進路指導教員が投票することで選定)においては、日本大は19位(20ポイント)、専修大はランク外50位以下であり、高校現場の印象でも、日本大の改革イメージの方が強いようである。

<まとめ>
 以上、専修大文学部と日本大文理学部を比較してみてきた。全般的には、難易度通り日本大文理学部が優位であると思われる。なお、実際に双方の学部に合格した人の選択を見てみてみると、日本大文理学部に進学した人が81%、専修大文学部に進学した人が19%(サンデー毎日2014年7月20日号より)という結果が出ている。
 この結果からみても、現在のところは日本大文理学部が優位といえるだろう。