2017年4月17日月曜日

産近甲龍対決:京都産業大外国語学部VS龍谷大国際学部

 いわゆる「産近甲龍」のうち、同じ京都の大学同士として比べられることの多い、京都産業大と龍谷大。今回は両校の国際系学部である京都産業大外国語学部と龍谷大国際学部に合格した場合、どちらに進学するのが良いかという観点から比較していきたい。
(一般的な評価は「龍谷大が優勢」という評価のようだが、果たしてその評価が正しいのか検証していく)。


※各指標の定義・根拠・出典等については、こちらのページをご覧ください。
 また、スマートフォンで閲覧する場合は、画面を横にすると各指標が見やすいです。


「入学段階では、どちらが優秀な学生が集まっているか」

項目名数値単位数値年度京都産業大学
外国語学部
龍谷大学
国際学部
大学全体の学部生数(人)大学20151288817524
学部の学生数(人)学部20152124542
入試難易度(河合塾)学部201647.552.5
入試難易度(駿台)学部20164950
入試難易度(ベネッセ)学部20166262
入学者数(人)学部2016512452
競争入試での入学者(人)学部2016225214
競争入試の割合(%)学部201643.90%47.30%
現役入学者の比率(%)学部201694.591.2

 入試難易度は、龍谷大国際学部が2勝1分けとなっている。僅差であるものの、「優秀な学生が集まっているか」という観点からは、龍谷大国際学部に軍配が上がるだろう。


「費用対効果はどちらが高いか」

項目名数値単位数値年度京都産業大学
外国語学部
龍谷大学
国際学部
4年間でかかる学費(万円)学部2015438535
学生還元率(%)大学201533.60%34.90%
奨学費(円)大学2015360,491,399770,874,120
学生一人当たりの奨学費(円)大学20152797143990
卒業率(%)学部201471.486.0
最寄駅の平均家賃(万円)20164~4.54~4.5

 4年間でかかる学費については、京都産業大外国語学部が100万円ほど安く、かなりインパクトのある差である。ただし、学科や専攻によって学費が違うため、詳細な比較は各大学のホームページをご確認いただきたい。
 また、学生還元率や一人当たりの奨学費については、龍谷大が多く、「学生が払った学費をどれだけ学生のために使っているか」という観点からは、龍谷大に軍配が上がる。
 なお、キャンパス周辺の家賃を比較してみると、ほとんど同じであり、下宿コストについての差はつかないだろう。
 留年リスク(4年間で卒業できない比率)については、龍谷大が15%程度低く、一つの判断材料になるだろう。
 以上を総合すると、コスト面では、京都産業大外国語学部が優位といえるだろうが、学科によっては学費の差がない場合があるため、その場合は龍谷大国際学部が優勢といえるかもしれない。


「どちらの大学が充実した学生生活を過ごせるか」

項目名数値単位数値年度京都産業大学
外国語学部
龍谷大学
国際学部
キャンパス学部2016神山【中間型】深草【都市型】
1年以内退学率(%)学部20141.1数値なし
4年間退学率(%)学部20149.4数値なし
入学者の地元占有率(%)学部201623.421.2
女子入学者の割合(%)学部201660.565.9
大学全体の女子学生数(人)大学201640127279
大学全体の男子学生数(人)大学2016879411954
大学全体の女子学生比率(%)大学201631.30%37.80%
女性ファッション誌登場人数(人)大学2011数値なし(2人以下)数値なし(2人以下)
受入留学生数(人)学部20153124
留学生比率
(留学生数/全学生数)
学部20161.50%4.40%
長期留学派遣学生数(人)大学20159677
長期留学派遣の割合(%)大学20153.00%1.80%
ST比(人)学部201529.913.9
専任教員数(人)学部20157139
一人当たり貸出冊数(冊)大学201511.310.8

<キャンパスの立地>
 京都産業大外国語学部は京都市内の地下鉄国際会館駅からバスで約10分の「神山キャンパス」で4年間を過ごす。交通の便は良いとは言えないが、その分、広々したキャンパスで、周囲は京都の落ち着いた雰囲気を感じつつ、学生生活を送ることができる。付近に店はあまりないため、歓楽街などはキャンパスから少し離れた場所まで繰り出すことになるが、京都市内の大学の大半は同じなので、デメリットではないだろう。
 一方の龍谷大国際学部は、京都駅から程近い、京阪電鉄深草駅・JR稲荷駅・地下鉄くいな橋駅の3駅利用可のアクセル良好な「深草キャンパス」で4年間を過ごす。アクセス面では都市型キャンパスといえるが、周囲の環境は静かな環境で、学生生活を送るのには悪くない環境である。周囲のお店の数は多いとは言えないが、少ないわけではない。京都市内の大規模大学のキャンパスとしては、上位レベルの利便性・環境の良さと言えるだろう。
 キャンパスの立地については、京都産業大の神山キャンパスも悪くはないが、利便性の高い龍谷大深草キャンパスと比べるならば、龍谷大の方が優位とえよう。しかし、京都産業大の神山キャンパスの緑に囲まれた環境も魅力的ではあり、両方に足を運んで実際に自分の目で見た方がいいかもしれない。

<学生の属性>
 次に、学生の属性を比較していくと、学部単位、大学単位の双方とも龍谷大の女子学生比率が5~6%ほど高い。ただ、この程度の差ならば大きな差とは言えないだろう。
 なお、留学生比率については、龍谷大国際学部が上であり、国際的な学習環境という意味では、龍谷大国際学部に軍配が上がる。

<教育面>
 次に、教育面を比較していくと、現在、各大学が競うように力を入れている「留学」については、京都産業大に軍配が上がる。龍谷大と比べて1.6倍の留学生派遣比率であり、僅かな差とはいえない数字である。
先輩の学生が留学に行っている割合が多ければ、自然と留学が身近になるため、もし留学をしたいと考えているのであれば、注目したい数値であり、一つの判断材料にもなりうるだろう。
 また、専任教員一人当たりの学生数(ST比)を比較すると、こちらは大差で龍谷大国際学部が勝っている。龍谷大国際学部の方が「少人数教育」の環境が整っているといえる。
 なお、学生がどれだけ勉強しているかの指標の一つである「一人当たりの貸出冊数」については、京都産業大の方が勝っている。ただし、差はわずかであり、優劣をつけるほどではないだろう。

 その他の比較としては、大学通信社による2014年度「入学後、生徒の満足度が高い大学」ランキング(進学校の進路指導教員が投票することで選定)において、京都産業大は47位(11ポイント)、龍谷大はランク外(10ポイント以下)となっている。こちらでは、京都産業大がやや優位のようだ。

 上記を総合すると、充実したキャンパスライフという観点から見ると、龍谷大国際学部が優位といえるだろう。


「どちらが幸せな人生を送れる進路に進めるか」

項目名数値単位数値年度京都産業大学
外国語学部
龍谷大学
国際学部
主要企業400社への就職率(%)大学201611.710%以下
卒業生数(人)学部2015416483
進学者数(人)学部2015913
進学率(%)学部20152.20%2.70%
公務員就職者数(人)学部201549
公務員就職比率(%)学部20151.00%1.90%
警察官就職者数(人)大学20157152
国家公務員総合職(人)大学2015数値なし(1人以下)数値なし(1人以下)
CA採用数(人)大学2014数値なし(8人以下)数値なし(8人以下)
国会議員の数(人)大学201502
上場企業の社長数(人)学部2006数値なし(5人以下)数値なし(5人以下)
社長の数(人)大学201521361107
社長になりやすさ
(社長の数/学生数)
大学20150.170.06
上場企業の役員数(人)学部2006数値なし(46人以下)数値なし(46人以下)
上場企業の役員数(人)大学20158763
上場企業の役員になりやすさ
(上場企業役員数/学生数)
大学20150.0070.004
※龍谷大のデータは、すべて「国際文化学部」(改組前の学部)のもの。


<大企業に入りたい>
 大企業社員として就職すれば、身分は安定し、給与・福利厚生などの待遇面での心配も少ない。その意味で、主要400社への就職率を比較材料として示しているが、京都産業大は2ケタ以上の数値を誇っており、龍谷大と比較して優れているといえる。

<公務員になりたい>
 学部単体の公務員就職比率は、龍谷大国際学部の方が高い数字となっている。とはいうものの、大きな差ではないため、判断材料にはならないだろう。

<主要な就職先の比較>

京都産業大学
外国語学部
龍谷大学
国際学部
全日本空輸JALスカイ
京セラJTB関西
京都銀行京都銀行
島津製作所国税庁
日本通運ANAエアポートサービス
日本航空エイチアイエス
東日本旅客鉄道りそな銀行
大日本住友製薬資生堂
日本精工滋賀県教育委員会
矢崎総業大阪府教育委員会
※龍谷大のデータは「国際文化学部」(改組前の学部)のもの。

 主要就職先は、双方とも航空会社が目立ち、学部の学問分野を生かしていることが推測される。京産大と龍谷大は、関東では「日東駒専」クラスとも言われたりするが、それらの大学の主要就職先と比較してみても、両学部の就職実績は良好と言っていいだろう。

<出世した先輩の多さ>
 先輩がどの程度、出世しているかを比較すると、京都産業大に軍配が上がる。大きな差ではないが、OB・OGの社長数や役員数は京産大の大きな武器であることは間違いないだろう。


<どちらの大学が頑張って「改革」しているか>

項目名数値単位数値年度京都産業大学
外国語学部
龍谷大学
国際学部
国からの特別補助金支給額
(千円)
大学2015225,533206,445
学生一人当たり
特別補助金支給額(千円)
大学20151712

 大学教育の現場では、随分前から「改革の必要性」が叫ばれている(大手大学ほど、その改革が進んでいないともいわれる…)。その観点でどちらが頑張って「改革」しているかを、最後に見てみたい。扱うデータは、改革を行っている大学に国から支給される「特別補助金」の額である。
 この数値を比較すると、京都産業大が勝っており、改革で先行しているイメージがある。
 なお、大学通信社による2014年度「改革力が高い大学」ランキング(進学校の進路指導教員が投票することで選定)においては、京都産業大と龍谷大ともに44位(8ポイント)であり、高校現場の印象では、互角の結果となっている。

<まとめ>
 以上、京都産業大外国語学部と龍谷大国際学部を比較してみてきた。全体としては、やはり龍谷大国際学部が優位であると言える。しかし一方で、産業界への社長・役員輩出率など、京産大が勝っている部分も少ないわけではないため、もし判断に迷うようであれば、キャンパス見学を行ってみることをおすすめしたい。
 そして、最後に強調したいのは、国際系学部の場合は、どこで学ぶか(大学名)よりも「何を学ぶか」が重要であることは忘れてはいけない。カリキュラムを見てみて、より自分の学びたい内容の学部を選ぶことを優先すべきであろう。