2017年4月22日土曜日

日東駒専対決:駒澤大経済学部VS日本大経済学部

 今回の比較対象は、関東の有名大学の中の、いわゆる「日東駒専」の中で永らくライバルとされてきた駒澤大学と日本大学。その中で、両大学の「経済学部」に合格した場合、どちらに進学するのが良いかという観点から比較していきたい。


※各指標の定義・根拠・出典等については、こちらのページをご覧ください。
 また、スマートフォンで閲覧する場合は、画面を横にすると各指標が見やすいです。


「入学段階では、どちらが優秀な学生が集まっているか」

項目名数値単位数値年度駒澤大学
経済学部
日本大学
経済学部
大学全体の学部生数(人)大学20151523067251
学部の学生数(人)学部201534646990
入試難易度(河合塾)学部20165050
入試難易度(駿台)学部20164950
入試難易度(ベネッセ)学部20165963
入学者数(人)学部20168201553
競争入試での入学者(人)学部2016479723
競争入試の割合(%)学部201658.4%46.6%
現役入学者の比率(%)学部201683.786.0

 入試難易度は日本大経済学部の2勝1分けとなっており、日大がやや優勢である。
 また、偏差値操作の手法として用いられる、「競争入試の割合」は、駒澤大経済学部が高いが、「入学定員」については日本大経済学部が巨大であるため、難易度は額面通りに受け取っていいだろう。
(一般入試、センター試験利用入試などの「競争入試」で入学する学生の方が、推薦入試や附属高上がりの学生よりも学力が高いケースが多く、競争入試の割合を下げることにより偏差値を高く見せる大学もある。また、募集定員が多い方が偏差値が下がってしまう傾向にあるため、本ブログでは、「競争入試の割合」と「募集定員」を比較するようにしている。)
 したがって、「優秀な学生が集まっているか」という観点からは、日本大経済学部がやや優勢といっていいだろう。


「費用対効果はどちらが高いか」

項目名数値単位数値年度駒澤大学
経済学部
日本大学
経済学部
4年間でかかる学費(万円)学部2015373386
学生還元率(%)大学201529.10%61%以下
奨学費(円)大学2015417,556,391数値なし
学生一人当たりの奨学費(円)大学201527417数値なし
卒業率(%)学部201482.582.2
最寄駅の平均家賃(万円)20166.5~79~9.5

 4年間でかかる学費については、駒澤大経済学部の方が13万円程度安い(学科や専攻によって学費が違う可能性があるため、詳細な比較は各大学のホームページをご確認いただきたい)。
 なお、学生還元率や奨学費のデータについては、日本大の公式HPからはデータが取れなかったため、比較はできない(情報公開が社会的責任として求められている大学においては、少なくとも「奨学費」くらいのデータは公開してほしいものである…)。
 したがって、比較はできないものの駒澤大のデータを評価すると、MARCHクラスの大学と比べると見劣りするものの、学生還元率・奨学費とも低い数値ではなく、一般的な数値といえるだろう。
 なお、キャンパス周辺の家賃を比較してみると、コスト的には駒澤大の方が割安となることが予想される。(大学と住居が近ければ利便性も高く、充実した学生生活になる可能性が高いという考えからこの家賃相場を比較している)。
 留年リスク(4年間で卒業できない比率)については、ほぼ互角である。
 上記を総合すると、コストパフォーマンス的には、やや駒澤大経済学部が優勢といえようか。


「どちらの大学が充実した学生生活を過ごせるか」

項目名数値単位数値年度駒澤大学
経済学部
日本大学
経済学部
キャンパス学部2016駒澤【中間型】水道橋【都市型】
1年以内退学率(%)学部20141.10.5
4年間退学率(%)学部20146.45.8
入学者の地元占有率(%)学部201627.730.0
女子入学者の割合(%)学部201630.729.5
大学全体の女子学生数(人)大学2016580621427
大学全体の男子学生数(人)大学2016942046482
大学全体の女子学生比率(%)大学201638.10%31.60%
女性ファッション誌登場人数(人)大学20112997
受入留学生数(人)学部201573161
留学生比率
(留学生数/全学生数)
学部20162.10%2.30%
長期留学派遣学生数(人)大学201511134
長期留学派遣の割合(%)大学20150.30%0.80%
ST比(人)学部201575.360.8
専任教員数(人)学部201546115
一人当たり貸出冊数(冊)大学20155.94.7

<キャンパスの立地>
 駒澤大経済学部は、渋谷駅から東急田園都市線で7分の「駒澤大学駅」から徒歩10分の「駒澤キャンパス」で4年間を過ごす。高級な住宅街の中の、とても狭いキャンパスであるが、近隣の駒澤公園という「逃げ場所」があるため、さほど気にはならないかもしれない。まさに都市型キャンパスと郊外型キャンパスの間の、「住宅街型キャンパス」といっても良いだろう。
 一方で、日本大経済学部は、神保町や水道橋駅から徒歩5分程度のアクセス良好な都心部で4年間を過ごす。日本大学は学部によってキャンパスがバラバラであるが、経済学部はその中でも特に便利なキャンパスとなっている。しかし、オフィス街の中に建物が混在して建っているという感じであり、他の大規模大学のようにキャンパスの門をくぐると「大学の自由な空間が広がっている」というような感覚は得られない(実際に訪れてみないと感覚が分からないだろうが…)。とはいうものの、田舎ではなく都市部で大学生活を過ごしたい人にとっては悪くないキャンパスかと思われる。
 両者を比較すると、キャンパスの立地については、甲乙つけがたい。大都会にあこがれがあるのであれば日本大が良いが、「大学のキャンパス」としては、駒澤大の方が整っている印象がある。

<ドロップアウトリスク>
 続いて、誰しも避けては通れない、ドロップアウトのリスク。せっかく頑張って勉強して大学に入学したのに、退学してしまっては元も子もない。双方とも大規模大学であるため、退学率は注視すべきデータであるが、日本大経済学部が低いことが分かる。ただし、駒澤大学経済学部もさほど高い数字ではない。

<学生の属性>
 学生の属性を比較していくと、女子学生比率は互角である。ただし、大学全体の女子学生比率は駒澤大の方がより高く、キャンパスの雰囲気の華やかさは駒澤大が上であろう。
 一方で地元占有率、受入留学生の比率はほぼ互角である。よって、「多様な価値観に触れる」という観点では、差はほとんどないと思っていいだろう。

<教育面>
 教育面を比較していくと、現在、各大学が競うように力を入れている「留学」については、日本大の方が優勢といえる。長期留学している学生の割合が2倍以上である(ただし、日本大学の場合は学部ごとの垣根が高いため、学部によってこの数値が大きく変わる可能性がある。あくまで大学全体としての話である)。
 一方で、専任教員一人当たりの学生数(ST比)は、どちらもかなり高い。日本大経済学部の方が低く出ているが、実際問題として、この数値では「少人数教育」は期待できないであろう。
 なお、学生がどれだけ勉強しているかの指標の一つである「一人当たりの貸出冊数」については、双方とも多くはなく、ほぼ互角であろう。

 上記を総合すると、充実したキャンパスライフという観点から見ると、ほぼ互角のような印象を受ける。


「どちらが幸せな人生を送れる進路に進めるか」

項目名数値単位数値年度駒澤大学
経済学部
日本大学
経済学部
主要企業400社への就職率(%)大学201610.510%以下
卒業生数(人)学部20157981477
進学者数(人)学部2015511
進学率(%)学部20150.60%0.70%
公務員就職者数(人)学部20153147
公務員就職比率(%)学部20153.90%3.20%
警察官就職者数(人)大学201557172
国家公務員総合職(人)大学2015数値なし
(1人以下)
3
CA採用数(人)大学2014数値なし
(8人以下)
11
国会議員の数(人)大学2015029
上場企業の社長数(人)学部2006数値なし
(5人以下)
11
社長の数(人)大学2015277022582
社長になりやすさ
(社長の数/学生数)
大学20150.180.34
上場企業の役員数(人)学部2006数値なし
(46人以下)
75
上場企業の役員数(人)大学201587610
上場企業の役員になりやすさ
(上場企業役員数/学生数)
大学20150.010.009

<大企業に入りたい>
 大企業社員として就職すれば、身分は安定し、給与・福利厚生などの待遇面での心配も少ない。その意味で、主要400社への就職率を比較材料として示しているが、駒澤大の方が高い数字が出ている。
 いわゆる「学歴フィルター」の対象としては、駒澤大経済学部と日本大経済学部で差がつくことは考えられないため、いかに充実した(中身のある)大学生活を送るかによって、大企業に就職できるか・できないかは変わってくる。大企業に就職したいからという理由でどちらかを選ぶという判断材料にはなりえないだろう。

<公務員になりたい>
 学部単体の公務員就職比率は、駒澤大経済学部が優勢である。ただし、大きな差ではない。

<主要な就職先の比較>

駒澤大学
経済学部
日本大学
経済学部
警視庁キッコーマン
三井住友銀行KDDI
みずほフィナンシャルグループ東京急行電鉄
岡三証券みずほフィナンシャルグループ
日本郵政グループ三井住友銀行
東京都民銀行三菱東京UFJ銀行
京葉銀行りそなホールディングス
JTBグループ日本郵便
オリエントコーポレーション国税庁東京国税局
野村証券東京都特別区

 主要就職先については、双方とも多様な業種が並んでいる。顔ぶれだけを見ると、日本大学経済学部が優勢のような気もするが、学生数が2倍近くいるため、就職実績は良く見えやすい傾向があることは留意した方がいいだろう。
 どちらの就職実績が優れているかは、この比較ではわからず、互角と言っていいだろう。

<出世した先輩の多さ>
 双方とも歴史がある大学であり、上場企業の役員などを「大学全体」として輩出している。数を比較すると、日本大がやや優位である。双方とも、大規模大学で卒業生が全国に散らばっており、卒業生のネットワークも期待できるであろう。


<どちらの大学が頑張って「改革」しているか>

項目名数値単位数値年度駒澤大学
経済学部
日本大学
経済学部
国からの特別補助金支給額
(千円)
大学201595,1931,479,950
学生一人当たり
特別補助金支給額(千円)
大学2015622

 大学教育の現場では、随分前から「改革の必要性」が叫ばれている(大手大学ほど、その改革が進んでいないともいわれる…)。その観点でどちらが頑張って「改革」しているかを、最後に見てみたい。扱うデータは、改革を行っている大学に国から支給される「特別補助金」の額である。
 この数値を比較すると、日本大が勝っており、改革で先行しているイメージがある(ただし、この数値については、多種多様な学部を抱える日本大学の方が高く出やすい傾向はある)。

<まとめ>
 以上、駒澤大経済学部と日本大経済学部を比較してみてきた。全般的としては、やはり入学時点の学力差で日本大経済学部が優勢だろうか(その他は互角の部分が多い印象である)。なお、実際に双方の学部に合格した人の選択を見てみてみると、駒澤大経済学部に進学した人が10%、日本大経済学部に進学した人が90%(サンデー毎日2014年7月20日号より)という結果が出ている。