2017年4月2日日曜日

日東駒専対決:駒澤大経営学部VS東洋大経営学部

 今回の比較対象は、関東の有名大学の中の、いわゆる「日東駒専」の中で永らくライバルとされてきた駒澤大学と東洋大学。その中で、両大学の「経営学部」に合格した場合、どちらに進学するのが良いかという観点から比較していきたい。


※各指標の定義・根拠・出典等については、こちらのページをご覧ください。
 また、スマートフォンで閲覧する場合は、画面を横にすると各指標が見やすいです。


「入学段階では、どちらが優秀な学生が集まっているか」

項目名数値単位数値年度駒澤大学
経営学部
東洋大学
経営学部
大学全体の学部生数(人)大学20151523026211
学部の学生数(人)学部201524383218
入試難易度(河合塾)学部20165052.5
入試難易度(駿台)学部20164846
入試難易度(ベネッセ)学部20165762
入学者数(人)学部2016600913
競争入試での入学者(人)学部2016374668
競争入試の割合(%)学部201662.30%73.20%
現役入学者の比率(%)学部201686.383.40%

 入試難易度は、東洋大経営学部の2勝1敗となっている。いずれも差は僅差であり、予備校の難易度だけでは、明確にどちらが上とは言いにくい。
 偏差値操作の手法として用いられる、「競争入試の割合」については、東洋大経営学部が高く、入学定員も東洋大経営学部が多いため、難易度が低めに出やすい。したがって見かけの難易度よりは、東洋大経営学部の難易度は高いと思ってもいいだろう。
(一般入試、センター試験利用入試などの「競争入試」で入学する学生の方が、推薦入試や附属高上がりの学生よりも学力が高いケースが多く、競争入試の割合を下げることにより偏差値を高く見せる大学もある。また、入学定員が多い学部の方が間口が広くなるため、難易度は低く出やすい。そのため、本ブログでは、「競争入試の割合」と「入学定員」を比較するようにしている。)
 したがって、「入学段階では、どちらが優秀な学生が集まっているか」という観点では、東洋大経営学部が上といっていいだろう。


「費用対効果はどちらが高いか」

項目名数値単位数値年度駒澤大学
経営学部
東洋大学
経営学部
4年間でかかる学費(万円)学部2015373389
学生還元率(%)大学201529.10%28.60%
奨学費(円)大学2015417,556,391722,379,911
学生一人当たりの奨学費(円)大学20152741727560
卒業率(%)学部201480.185.9
最寄駅の平均家賃(万円)20166.5~76.5~7

 4年間でかかる学費については、駒澤大経営学部の方が16万円程度安い(学科や専攻によって学費が違う可能性があるため、詳細な比較は各大学のホームページをご確認いただきたい)。
 学生還元率や奨学費のデータについては、ほとんど差がなく「学費をどのくらい学生のためにつかっているか」という観点では互角といっていい。
 また、キャンパス周辺の家賃を比較してみると、コスト的にはほとんど変わらないだろう。
 留年リスク(4年間で卒業できない比率)については、駒澤大経営学部が5%ほど高い。大差ではないが、参考にはなる数字といえる。
 上記を総合すると、コストパフォーマンス的には、ほとんど互角といえよう。


「どちらの大学が充実した学生生活を過ごせるか」

項目名数値単位数値年度駒澤大学
経営学部
東洋大学
経営学部
キャンパス学部2016駒澤【中間型】白山【都市型】
1年以内退学率(%)学部20140.81.3
4年間退学率(%)学部20145.85.8
入学者の地元占有率(%)学部201632.526.70%
女子入学者の割合(%)学部201637.738.70%
大学全体の女子学生数(人)大学2016580612338
大学全体の男子学生数(人)大学2016942017514
大学全体の女子学生比率(%)大学201638.10%41.30%
女性ファッション誌登場人数(人)大学2011299
受入留学生数(人)学部201510145
留学生比率
(留学生数/全学生数)
学部20164.10%1.40%
長期留学派遣学生数(人)大学20151193
長期留学派遣の割合(%)大学20150.30%1.40%
ST比(人)学部201578.651.1
専任教員数(人)学部20153163
一人当たり貸出冊数(冊)大学20155.97.2

<キャンパスの立地>
 駒澤大経営学部は、渋谷駅から東急田園都市線で7分の「駒澤大学駅」が最寄り駅で、そこから徒歩10分の「駒澤キャンパス」で4年間を過ごす。高級な住宅街の中の、とても狭いキャンパスであるが、近隣の駒澤公園という「逃げ場所」があるため、さほど気にはならないかもしれない。まさに都市型キャンパスと郊外型キャンパスの間の、「住宅街型キャンパス」といっても良いだろう。
 一方の東洋大経営学部は文京区の白山駅から徒歩5分の「白山キャンパス」で4年間を過ごす。都心部に近いながら、周囲は比較的静かな環境で、周囲のお店もさほど多くはないが、地下鉄を使えばどこに行くのも便利である。やや狭いのが気になるが、都市型キャンパスで静かな環境を維持しているという意味では、キャンパス環境としてはかなり恵まれているといえる。
 両者を比較すると、キャンパスの立地については、どちらもポテンシャルが高い。甲乙つけにくいが、強いて優劣をつけるなら、やや東洋大が優勢といえるだろう。

<ドロップアウトリスク>
 続いて、誰しも避けては通れない、ドロップアウトのリスク。せっかく頑張って勉強して大学に入学したのに、退学してしまっては元も子もない。双方とも大規模大学であるため、退学率は注視すべきデータであるが、ほとんど差はないため判断材料にはならないだろう。

<学生の属性>
 次に、学生の属性を比較していくと、女子学生比率は東洋大経営学部が高いが、僅差であるため気にするほどの差ではない。
 受入留学生の比率については、駒澤大経営学部が勝っている。「国際的な学習環境」という観点では駒澤大経営学部が上といえる。

<教育面>
 次に、教育面を比較していくと、現在、各大学が競うように力を入れている「留学」については、東洋大の方が優勢といえる。長期留学している学生の割合が4倍以上である。先輩の学生が留学に行っている割合が多ければ、自然と留学が身近になるため、もし留学をしたいと考えているのであれば、注目したい数値であり、一つの判断材料になるだろう。なお、東洋大は「スーパーグローバル大学」として採択されており、今後も国際化が進んでいくことが予想される。
 一方で、専任教員一人当たりの学生数(ST比)も、東洋大経営学部の方が低く、より少人数教育の環境が整っている。駒澤大経営学部はST比が高すぎであり、ここはマイナスポイントである。
 なお、学生がどれだけ勉強しているかの指標の一つである「一人当たりの貸出冊数」については、東洋大が勝っている。

 上記を総合すると、充実したキャンパスライフという観点から見ると、東洋大経営学部が優勢といっていいだろう。


「どちらが幸せな人生を送れる進路に進めるか」

項目名数値単位数値年度駒澤大学
経営学部
東洋大学
経営学部
主要企業400社への就職率(%)大学201610.510%以下
卒業生数(人)学部2015520801
進学者数(人)学部201544
進学率(%)学部20150.80%0.50%
公務員就職者数(人)学部2015728
公務員就職比率(%)学部20151.30%3.50%
警察官就職者数(人)大学20155761
国家公務員総合職(人)大学2015数値なし(1人以下)数値なし(1人以下)
CA採用数(人)大学2014数値なし(8人以下)数値なし(8人以下)
国会議員の数(人)大学201503
上場企業の社長数(人)学部2006数値なし(5人以下)数値なし(5人以下)
社長の数(人)大学201527702868
社長になりやすさ
(社長の数/学生数)
大学20150.1800.110
上場企業の役員数(人)学部2006数値なし(46人以下)数値なし(46人以下)
上場企業の役員数(人)大学20158786
上場企業の役員になりやすさ
(上場企業役員数/学生数)
大学20150.0060.003

<大企業に入りたい>
 大企業社員として就職すれば、身分は安定し、給与・福利厚生などの待遇面での心配も少ない。その意味で、主要400社への就職率を比較材料として示しているが、駒澤大の方が高い数字が出ている。
 いわゆる「学歴フィルター」の対象としては、駒澤大経営学部と東洋大経営学部で差がつくことは考えられないため、いかに充実した(中身のある)大学生活を送るかによって、大企業に就職できるか・できないかは変わってくる。大企業に就職したいからという理由でどちらかを選ぶという判断材料にはなりえないだろう。

<公務員になりたい>
 学部単体の公務員就職比率は、東洋大経営学部が高い。公務員就職では、東洋大経営学部が有利といえる。

<主要な就職先の比較>

駒澤大学
経営学部
東洋大学
経営学部
ローソンみずほフィナンシャルグループ
東日本銀行横浜銀行
一条工務店京葉銀行
東急リバブル千葉銀行
セブン-イレブン・ジャパンファミリーマート
マイナビ良品計画
JTBグループトランス・コスモス
東日本旅客鉄道花王
損害保険ジャパン日本興亜住友不動産販売
全日本空輸全日本空輸

 主要就職先については、東洋大経営学部は金融機関が上位を占める一方、駒澤大経営学部は多様な業界が並んでいる。どちらも人気企業ばかりであり、就職実績は悪くないといえる。

<出世した先輩の多さ>
 双方とも歴史がある大学であり、上場企業の役員などを輩出している。数を比較すると、駒澤大がやや優位である。双方とも大規模大学であり、卒業生が全国に散らばっている。卒業生のネットワークも期待できるであろう。


<どちらの大学が頑張って「改革」しているか>

項目名数値単位数値年度駒澤大学
経営学部
東洋大学
経営学部
国からの特別補助金支給額
(千円)
大学201595,193413,553
学生一人当たり
特別補助金支給額(千円)
大学2015616

 大学教育の現場では、随分前から「改革の必要性」が叫ばれている(大手大学ほど、その改革が進んでいないともいわれる…)。その観点でどちらが頑張って「改革」しているかを、最後に見てみたい。扱うデータは、改革を行っている大学に国から支給される「特別補助金」の額である。
 この数値を比較すると、東洋大が勝っており、改革で先行しているイメージがある。

<まとめ>
 以上、駒澤大経営学部と東洋大経営学部を比較してみてきた。全般的には、東洋大経営学部が優勢である。なお、実際に双方の学部に合格した人の選択を見てみてみると、駒澤大経営学部に進学した人が21%、東洋大経営学部に進学した人が79%(サンデー毎日2014年7月20日号より)という結果が出ている。