2017年3月4日土曜日

MARCH対決:法政大国際文化学部VS立教大異文化コミュニケーション学部

 今回の比較対象は、GMARCHのくくりの中で比較されることの多い法政大と立教大。その中で、法政大国際文化学部と立教大異文化コミュニケーション学部に合格した場合、どちらに進学するのが良いかという観点から比較していきたい。


※各指標の定義・根拠・出典等については、こちらのページをご覧ください。
 また、スマートフォンで閲覧する場合は、画面を横にすると各指標が見やすいです。


「入学段階では、どちらが優秀な学生が集まっているか」

項目名数値単位数値年度法政大学
国際文化学部
立教大学
異文化コミュニ
ケーション学部
大学全体の学部生数(人)大学20152711019481
学部の学生数(人)学部20151126535
入試難易度(河合塾)学部20166065
入試難易度(駿台)学部20165657
入試難易度(ベネッセ)学部20167075
入学者数(人)学部2016278124
競争入試での入学者(人)学部201616546
競争入試の割合(%)学部201659.40%37.10%
入試方式の数(競争入試)学部201525
現役入学者の比率(%)学部201694.2数値なし
※立教大の競争入試の割合は2015年度の数値

 入試難易度は、3社とも立教大異文化コミュニケーション学部が上となっている。
 しかし、「競争入試の割合」は法政大国際文化学部の方がかなり高いため、見かけほどの差はないと考えていいだろう(一般入試、センター試験利用入試などの「競争入試」で入学する学生の方が、推薦入試や附属高上がりの学生よりも学力が高いケースが多く、競争入試の割合を下げることにより偏差値を高く見せる大学もある。そのため、本ブログでは、「競争入試の割合」を比較するようにしている)。


「費用対効果はどちらが高いか」

項目名数値単位数値年度法政大学
国際文化学部
立教大学
異文化コミュニ
ケーション学部
4年間でかかる学費(万円)学部2015485459
学生還元率(%)大学201538.00%38.40%
奨学費(円)大学2015994,270,147680,670,582
学生一人当たりの奨学費(円)大学20153667534940
卒業率(%)学部20147785
最寄駅の平均家賃(万円)20168.5~96.5~7

 4年間でかかる学費については、立教大異文化コミュニケーション学部が26万円ほど安い(学科や専攻によって学費が違う可能性があるため、詳細な比較は各大学のホームページをご確認いただきたい)。
 学生還元率や一人当たりの奨学費など「学生が払った学費をどれだけ学生のために使っているか」という観点からは、ほとんど差はなく、互角とみていいだろう。
 なお、キャンパス周辺の家賃を考えてみると、立教大の近辺の家賃が安い(大学と住居が近ければ利便性も高く、充実した学生生活になる可能性が高いという考えからこの家賃相場を比較している)。
 留年リスク(4年間で卒業できない比率)については、法政大国際文化学部の方が8%程度高い。大差ではないが、一つの参考情報にはなるだろう。
 以上を総合すると、コスト面では、立教大異文化コミュニケーション学部が優位といっていいだろう。

「どちらの大学が充実した学生生活を過ごせるか」

項目名数値単位数値年度法政大学
国際文化学部
立教大学
異文化コミュニ
ケーション学部
キャンパス学部2016市ヶ谷【都市型】池袋【都市型】
1年以内退学率(%)学部20141.41.6
4年間退学率(%)学部20142.72.3
入学者の地元占有率(%)学部201632.7数値なし
大学全体の首都圏出身比率(%)大学201561.673.3
女子入学者の割合(%)学部201663.773.2
大学全体の女子学生数(人)大学20161050910377
大学全体の男子学生数(人)大学2016180679069
大学全体の女子学生比率(%)大学201636.80%53.40%
女性ファッション誌登場人数(人)大学20116120
受入留学生数(人)学部20153924
留学生比率
(留学生数/全学生数)
学部20163.50%4.50%
長期留学派遣学生数(人)大学201572121
長期留学派遣の割合(%)大学20151.10%2.50%
ST比(人)学部20152411.9
専任教員数(人)学部20154745
一人当たり貸出冊数(冊)大学20157.410.3

<キャンパスの立地>
 法政大国際文化学部は市ヶ谷にキャンパスを構えている。ボアソナードタワーを中心として、都市型キャンパスではあるが、周辺はオフィス街の雰囲気が強く、「学生街」としてのイメージはない。とはいうものの、神楽坂が徒歩圏内であったりと、利便性が悪いとも言えない。
 一方の立教大異文化コミュニケーション学部は、巨大ターミナル駅である池袋駅から徒歩7分の抜群の立地。立教大のイメージと違い、池袋にオシャレなイメージはあまりないが、その分、物価面などで学生にとっては過ごしやすい街かもしれない。
 キャンパスの立地については、ともに都市型キャンパスで利便性は高く、甲乙はつけがたいが、学生の人気としては立教大の池袋キャンパスが上だろう。

<ドロップアウトリスク>
 続いて、誰しも避けては通れない、ドロップアウトのリスク。せっかく頑張って勉強して大学に入学したのに、退学してしまっては元も子もない。双方とも大規模大学であるため、退学率は注視すべきデータであるが、ほとんど同値であり、優劣をつけることはできない。
 なお、大学通信社による2016年度「面倒見が良い大学」ランキング(進学校の進路指導教員にアンケートを行って選定)においては、法政大が18位(35ポイント)、立教大が23位(28ポイント)となっており、高校教育の現場においては、法政大の方が「面倒見が良い」という印象があるようだ。

<学生の属性>
 次に、学生の属性を比較していくと、大学全体、学部単体の女子学生比率とも立教大異文化コミュニケーション学部が高い。
 国際系学部で重要指標となる「留学生比率」については、立教大異文化コミュニケーション学部の方が高く、国際的な教育環境は立教大異文化コミュニケーション学部が優位といっていいだろう。

<教育面>
 次に、教育面を比較していくと、現在、各大学が競うように力を入れている「留学」については、立教大に軍配が上がる。先輩の学生が留学に行っている割合が多ければ、自然と留学が身近になるため、もし留学をしたいと考えているのであれば、一つの判断材料にはなりうる。
 また、専任教員一人当たりの学生数(ST比)については、立教大異文化コミュニケーション学部の方が低い。「少人数教育の環境」としては立教大異文化コミュニケーション学部が整っている。

 なお、学生がどれだけ勉強しているかの指標の一つである「一人当たりの貸出冊数」については、やや立教大が多い。
 実際の教育効果については、比較が難しいが、大学通信社が進学校の進路指導教員に「進学して伸びた大学」と「進学して伸び悩んだ大学」をアンケートしている。
 2014年10月に実施したアンケートでは、「進学して伸びた」と答えた数は、法政大が6人、立教大が16人、一方で「進学して伸び悩んだ」と答えた数は、法政大が17人、立教大が4人であり、高校側の印象では、立教大の方が「学生を伸ばす大学」であると認識されているようである。
 その他の比較としては、同じく大学通信社による2014年度「入学後、生徒の満足度が高い大学」ランキング(進学校の進路指導教員が投票することで選定)において、法政大は47位(11ポイント)、立教大は13位(47ポイント)となっている。こちらでも、立教大がやや優位のようだ。

 上記を総合すると、充実したキャンパスライフという観点から見ると、立教大異文化コミュニケーション学部が優勢のような印象を受ける。


「どちらが幸せな人生を送れる進路に進めるか」

項目名数値単位数値年度法政大学
国際文化学部
立教大学
異文化コミュニ
ケーション学部
主要企業400社への就職率(%)大学201622.528.3
卒業生数(人)学部2015253131
進学者数(人)学部201539
進学率(%)学部20151.20%6.90%
公務員就職者数(人)学部201573
公務員就職比率(%)学部20152.80%2.30%
警察官就職者数(人)大学20155712
国家公務員総合職(人)大学201563
CA採用数(人)大学20142024
国会議員の数(人)大学2015115
上場企業の社長数(人)学部2006数値なし
(5人以下)
数値なし
(5人以下)
社長の数(人)大学201569714023
社長になりやすさ
(社長の数/学生数)
大学20150.260.21
上場企業の役員数(人)学部2006数値なし
(46人以下)
数値なし
(46人以下)
上場企業の役員数(人)大学2015341250
上場企業の役員になりやすさ
(上場企業役員数/学生数)
大学20150.0130.013

<大企業に入りたい>
 大企業社員として就職すれば、身分は安定し、給与・福利厚生などの待遇面での心配も少ない。その意味で、主要400社への就職率を比較材料として示しているが、立教大の方が6%ほど高い数字が出ている。
 いわゆる「学歴フィルター」の対象としては、法政大国際文化学部と立教大異文化コミュニケーション学部で差がつくことは考えられないため、いかに充実した(中身のある)大学生活を送るかによって、大企業に就職できるか・できないかは変わってくることを理解しておきたい。

<公務員になりたい>
 学部単体の公務員就職比率は、法政大国際文化学部の方が高いが、ほとんど数値に差はないため、公務員就職については互角といっていいだろう。

<主要な就職先の比較>

法政大学
国際文化学部
立教大学
異文化コミュニケーション学部
JTBグループ日本航空
全日本空輸日本放送協会
三菱東京UFJ銀行日本IBM
みずほフィナンシャルグループ住友倉庫
KNT-CTホールディングスグループ楽天
トヨタ自動車イーオン
日本航空日新航空サービス
三井住友銀行日立製作所
損害保険ジャパン日本興亜河北新報社
日本生命保険グーグル

 主要就職先を見てみると、どちらもグローバル企業が並んでいる。学生時代に得た国際感覚を生かせる業種に進んでいることがわかる。どちらも良好な就職実績といえる。

<出世した先輩の多さ>
 社長輩出率は法政大、役員輩出率は互角である。「学閥」を考えた場合は、ほぼ互角といえるだろう。


<どちらの大学が頑張って「改革」しているか>

項目名数値単位数値年度法政大学
国際文化学部
立教大学
異文化コミュニ
ケーション学部
国からの特別補助金支給額
(千円)
大学2015446,556391,199
学生一人当たり
特別補助金支給額(千円)
大学20151620

 大学教育の現場では、随分前から「改革の必要性」が叫ばれている(大手大学ほど、その改革が進んでいないともいわれる…)。その観点でどちらが頑張って「改革」しているかを、最後に見てみたい。ここで比較するデータは、改革を行っている大学に国から支給される「特別補助金」の額である。
 この数値を比較すると、やや立教大の方が優勢といえる。
 また、大学通信社による2016年度「改革力が高い大学」ランキング(進学校の進路指導教員が投票することで選定)においては、法政大が12位(54ポイント)、立教大が9位(58ポイント)と、高校現場の印象では、立教大が勝っているといえよう。

<まとめ>
 以上、法政大国際文化学部と立教大異文化コミュニケーション学部を比較してみてきたが、総合してみると、立教大異文化コミュニケーション学部の方がやや優位と感じられる。