2017年3月11日土曜日

産近甲龍対決:龍谷大法学部VS甲南大法学部

 いわゆる「産近甲龍」のくくりの中で比べられることの多い、龍谷大と甲南大。今回は両校の「法学部」に合格した場合、どちらに進学するのが良いかという観点から比較していきたい。


※各指標の定義・根拠・出典等については、こちらのページをご覧ください。
 また、スマートフォンで閲覧する場合は、画面を横にすると各指標が見やすいです。


「入学段階では、どちらが優秀な学生が集まっているか」

項目名数値単位数値年度龍谷大学
法学部
甲南大学
法学部
大学全体の学部生数(人)大学2015175249048
学部の学生数(人)学部201518611663
入試難易度(河合塾)学部20165045
入試難易度(駿台)学部20165150
入試難易度(ベネッセ)学部20166257
入学者数(人)学部2016399407
競争入試での入学者(人)学部2016229242
競争入試の割合(%)学部201657.40%59.50%
現役入学者の比率(%)学部20168991.9

 入試難易度は3社とも龍谷大法学部が上の数値となっている。「優秀な学生が集まっているか」という観点からは、龍谷大法学部に軍配が上がる。
 なお、競争入試の割合についても、大差はなくため、予備校が算出した難易度は額面通りに受け取っていいだろう。
(一般入試、センター試験利用入試などの「競争入試」で入学する学生の方が、推薦入試や附属高上がりの学生よりも学力が高いケースが多く、競争入試の割合を下げることにより偏差値を高く見せる大学があるため、「競争入試の割合」を本ブログでは比較するようにしている。)


「費用対効果はどちらが高いか」

項目名数値単位数値年度龍谷大学
法学部
甲南大学
法学部
4年間でかかる学費(万円)学部2015403389
学生還元率(%)大学201534.90%32.30%
奨学費(円)大学2015770,874,120122,888,962
学生一人当たりの奨学費(円)大学201543,99013,582
卒業率(%)学部201474.280.7
最寄駅の平均家賃(万円)20164~4.53.5~4

 4年間でかかる学費については、甲南大法学部の方が14万円ほど安い。ただし、学科によって学費が違う可能性があるため、詳細な比較は各大学のホームページをご確認いただきたい。
 なお、学生還元率、一人当たりの奨学費については、龍谷大が優位であり「学費を学生のためにつかっているか」という観点では龍谷大に軍配が上がる。
 一人暮らしをする場合には、キャンパス周辺の家賃を考えてみると、京都の家賃が高いぶん、龍谷大の方がやや高い(大学と住居が近ければ利便性も高く、充実した学生生活になる可能性が高いという考えからこの家賃相場を比較している)。
 また、留年リスク(4年間で卒業できない比率)については、龍谷大法学部の方が6%ほど高い。大きな差ではないが、参考にはなるだろう(言うまでもなく、留年した場合には余計に学費がかかる)。
 以上を総合すると、コスト面ではやや甲南大が優勢といえそうだ。


「どちらの大学が充実した学生生活を過ごせるか」

項目名数値単位数値年度龍谷大学
法学部
甲南大学
法学部
キャンパス学部2016深草【都市型】岡本【中間型】
1年以内退学率(%)学部20141.41.3
4年間退学率(%)学部20145.74.9
入学者の地元占有率(%)学部201625.672
女子入学者の割合(%)学部201629.636.1
大学全体の女子学生数(人)大学201672793617
大学全体の男子学生数(人)大学2016119545412
大学全体の女子学生比率(%)大学201637.80%40.10%
女性ファッション誌登場人数(人)大学2011数値なし(2人以下)6
受入留学生数(人)学部201550
留学生比率
(留学生数/全学生数)
学部20160.30%0.00%
長期留学派遣学生数(人)大学20157741
長期留学派遣の割合(%)大学20151.80%1.80%
ST比(人)学部201543.369.3
専任教員数(人)学部20154324
一人当たり貸出冊数(冊)大学201510.83.7

<キャンパスの立地>
 龍谷大法学部は、京都駅から程近い、京阪電鉄深草駅・JR稲荷駅・地下鉄くいな橋駅の3駅利用可のアクセル良好な「深草キャンパス」で4年間を過ごす。アクセス面では都市型キャンパスといえるが、周囲の環境は静かな環境で、学生生活を送るのには悪くない環境である。周囲のお店の数は多いとは言えないが、少ないわけではない。京都市内の大規模大学のキャンパスとしては、上位レベルの利便性・環境の良さと言えるだろう。
 一方の、甲南大学は、一言で言うとオシャレなキャンパス。阪急神戸線の岡本駅かJR神戸線の摂津本山駅から徒歩10分の「岡本キャンパス」で4年間を過ごす。周囲にはオシャレな店が並んでおり、キャンパス界隈がオシャレな大学のイメージそのものといっていいだろう。
 キャンパスを比較すると、どちらもポテンシャルは高いが、「都市型」である点で龍谷大法学部がやや優位だろうか。ただし、京都か神戸かでも異なるし、価値観によってどちらで大学生活を送りたいかという判断は異なるため、実際に足を運んで自分の目で確かめることをお勧めする。

<ドロップアウトリスク>
 続いて、誰しも避けては通れない、ドロップアウトのリスク。せっかく頑張って勉強して大学に入学したのに、退学してしまっては元も子もない。双方とも大規模大学であるため、退学率は注視すべきデータであるが、甲南大法学部の方が低い。

<学生の属性>
 次に、学生の属性を比較していくと、女子学生比率については、甲南大法学部が高い。
 外国人留学生の比率については、龍谷大法学部が多く、教室内の国際性という意味では、僅かではあるが龍谷大法学部が優れているといえる。
 なお、入学者の地元占有率を比較すると、甲南大の方が圧倒的に高く、様々な都道府県から学生を集めているかという比較においては、龍谷大法学部が勝っていると思われる。
 よって、「学生の属性が多様であり、多様な価値観に触れることができるか」という観点では、龍谷大に軍配が上がりそうだ。

<教育面>
 次に、教育面を比較していくと、現在、各大学が競うように力を入れている「長期留学派遣率」は互角である。
 また、専任教員一人当たりの学生数(ST比)は、龍谷大法学部が低く、「少人数教育の環境」については、龍谷大法学部が優位である。
 なお、学生がどれだけ勉強しているかの指標の一つである「一人当たりの貸出冊数」については、龍谷大の方が多い。この数値は甲南大が低すぎでありマイナスポイントである。

 上記を総合すると、充実したキャンパスライフという観点から見ると、龍谷大法学部が優勢といえる。


「どちらが幸せな人生を送れる進路に進めるか」

項目名数値単位数値年度龍谷大学
法学部
甲南大学
法学部
主要企業400社への就職率(%)大学201610%以下16.5
卒業生数(人)学部2015440384
進学者数(人)学部2015127
進学率(%)学部20152.70%1.80%
公務員就職者数(人)学部20157739
公務員就職比率(%)学部201517.50%10.20%
警察官就職者数(人)大学20155229
国家公務員総合職(人)大学2015数値なし(1人以下)数値なし(1人以下)
CA採用数(人)大学2014数値なし(8人以下)数値なし(8人以下)
国会議員の数(人)大学201520
上場企業の社長数(人)学部2006数値なし(5人以下)数値なし(5人以下)
社長の数(人)大学201511072683
社長になりやすさ
(社長の数/学生数)
大学20150.060.3
上場企業の役員数(人)学部2006数値なし(46人以下)数値なし(46人以下)
上場企業の役員数(人)大学201563127
上場企業の役員になりやすさ
(上場企業役員数/学生数)
大学20150.0040.014

<大企業に入りたい>
 大企業社員として就職すれば、身分は安定し、給与・福利厚生などの待遇面での心配も少ない。その意味で、主要400社への就職率を比較材料として示しているが、甲南大は16.5%の数値を誇っおり、龍谷大と比較して優れているといえる。
 もっとも、いわゆる「学歴フィルター」の対象としては、甲南大法学部と龍谷大法学部で目に見えるほどの差がつくことは考えられないため、いかに充実した(中身のある)大学生活を送るかによって、大企業に就職できるか・できないかは変わってくる。大企業に就職したいからという理由でどちらかの大学を選ぶという判断材料にはなりえないだろう。

<公務員になりたい>
 学部単体の公務員就職比率は、龍谷大法学部がかなり高い。この数値は、「公務員になりたい」という人が積極的に龍谷大法学部を選ぶ理由になりうるほどの高さだ。

<主要な就職先の比較>

龍谷大学
法学部
甲南大学
法学部
京都府警察兵庫県警察本部
法務省三井住友銀行
京都中央信用金庫みなと銀行
財務省住友不動産販売
京都銀行三菱東京UFJ銀行
京都府庁兵庫県庁
厚生労働省青山商事
きんでん国税庁
ヤクルト本社大阪国税局
持田製薬姫路信用金庫
大塚製薬

 主要就職先の上位は、どちらも公務員と金融機関が多くなっている。主観を交えていうなれば、やや龍谷大法学部の就職実績が優位のようなイメージがある。

<出世した先輩の多さ>
 先輩がどの程度、出世しているかを比較すると、上場企業の社長輩出率、役員輩出率ともに甲南大の方が勝っている。学閥を考えた場合は、甲南大がやや有利といえるだろう。


<どちらの大学が頑張って「改革」しているか>

項目名数値単位数値年度龍谷大学
法学部
甲南大学
法学部
国からの特別補助金支給額
(千円)
大学2015206,445199,339
学生一人当たり
特別補助金支給額(千円)
大学20151222

 大学教育の現場では、随分前から「改革の必要性」が叫ばれている(大手大学ほど、その改革が進んでいないともいわれる…)。その観点でどちらが頑張って「改革」しているかを、最後に見てみたい。扱うデータは、改革を行っている大学に国から支給される「特別補助金」の額である。
 この数値を比較すると、甲南大が勝っており、改革で先行しているイメージがある。


<まとめ>
 以上、龍谷大法学部と甲南大法学部を比較してみてきた。全体としては、龍谷大法学部が優位の印象を受ける。ただし、甲南大が勝っている項目も少なくないため、最終的な判断については、是非、両大学のキャンパスの見学をしたうえで決めてもらえればと思う。特に近畿地方以外から進学する場合は、足を運んでみることを特にお勧めしたい。