※各指標の定義・根拠・出典等については、こちらのページをご覧ください。
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「入学段階では、どちらが優秀な学生が集まっているか」
項目名 | 数値単位 | 数値年度 | 青山学院大学 経済学部 | 中央大学 経済学部 |
大学全体の学部生数(人) | 大学 | 2015 | 17601 | 25080 |
学部の学生数(人) | 学部 | 2015 | 2306 | 4532 |
入試難易度(河合塾) | 学部 | 2016 | 60 | 57.5 |
入試難易度(駿台) | 学部 | 2016 | 54 | 54 |
入試難易度(ベネッセ) | 学部 | 2016 | 68 | 69 |
入学者数(人) | 学部 | 2016 | 552 | 1084 |
競争入試での入学者(人) | 学部 | 2016 | 404 | 506 |
競争入試の割合(%) | 学部 | 2016 | 73.20% | 46.70% |
入試方式の数(競争入試) | 学部 | 2015 | 4 | 6 |
現役入学者の比率(%) | 学部 | 2016 | 79.3 | 76.4 |
入試難易度は3社すべてが異なるという、珍しい形となった。河合塾は青山学院大経済学部が上、「駿台」は引き分け、「ベネッセ」は中央大経済学部の方が上の数値を出している。つまり、ほとんど難易度の差はないと考えていいだろう。
しかし、「競争入試の割合」は青山学院大経済学部の方が有意に高く、入試方式の数も少ないことから、強いて優劣をつければ、青山学院大経済学部が優勢か。
(MARCHクラスの大学では、競争入試(一般入試、センター試験利用入試)で入学する学生の方が、推薦入試や附属高上がりの学生よりも学力が高いケースが多い。その意味で、競争入試で入った学生の割合が多いほど優秀と言えるのだが、競争入試の割合を高くすると、間口が広がってしまうことで入試偏差値が下がる恐れもある。その他、偏差値を下げないための方策として、入試方式を増やして、各入試方式の定員を小さくすることで見かけの偏差値を維持するという手法もあることから、本ブログでは競争入試の割合や入試方式の数を比較材料としている)
「費用対効果はどちらが高いか」
項目名 | 数値単位 | 数値年度 | 青山学院大学 経済学部 | 中央大学 経済学部 |
4年間でかかる学費(万円) | 学部 | 2015 | 446 | 427 |
学生還元率(%) | 大学 | 2015 | 31.80% | 35.70% |
奨学費(円) | 大学 | 2015 | 385,868,990 | 1,245,994,977 |
学生一人当たりの奨学費(円) | 大学 | 2015 | 21923 | 49681 |
卒業率(%) | 学部 | 2014 | 76.6 | 82.5 |
最寄駅の平均家賃(万円) | 2016 | 9.5~10 | 4.5~5 |
4年間でかかる学費については、中央大経済学部の方が約19万円安い(学科や専攻によって学費が違う可能性があるため、詳細な比較は各大学のホームページをご確認いただきたい)。
さらに、学生還元率や一人当たりの奨学費は中央大が勝っており、コスト面では文句なしに中央大が勝っているといえる。
加えて、一人暮らしをする場合には、キャンパス周辺の家賃を考えてみると、中央大の方がさらに割安となることが予想される。
また、留年リスク(4年間で卒業できない比率)については、青山学院大経済学部の方が6%ほど高いのも一つの判断材料にはなるだろう(言うまでもなく、留年した場合には余計に学費がかかる)。
以上の通り、コストパフォーマンス面では、中央大経済学部が優勢といえそうだ。
「どちらの大学が充実した学生生活を過ごせるか」
項目名 | 数値単位 | 数値年度 | 青山学院大学 経済学部 | 中央大学 経済学部 |
キャンパス | 学部 | 2016 | 青山【都市型】 | 多摩【郊外型】 |
1年以内退学率(%) | 学部 | 2014 | 0.5 | 0.7 |
4年間退学率(%) | 学部 | 2014 | 2.4 | 3.8 |
入学者の地元占有率(%) | 学部 | 2016 | 33.5 | 31.7 |
大学全体の首都圏出身比率(%) | 大学 | 2015 | 66 | 56.1 |
女子入学者の割合(%) | 学部 | 2016 | 35.3 | 32.3 |
大学全体の女子学生数(人) | 大学 | 2016 | 8707 | 9064 |
大学全体の男子学生数(人) | 大学 | 2016 | 9027 | 15757 |
大学全体の女子学生比率(%) | 大学 | 2016 | 49.10% | 36.50% |
女性ファッション誌登場人数(人) | 大学 | 2011 | 277 | 238 |
受入留学生数(人) | 学部 | 2015 | 35 | 200 |
留学生比率 (留学生数/全学生数) | 学部 | 2016 | 1.50% | 4.40% |
長期留学派遣学生数(人) | 大学 | 2015 | 84 | 85 |
長期留学派遣の割合(%) | 大学 | 2015 | 1.90% | 1.40% |
ST比(人) | 学部 | 2015 | 50.1 | 47.7 |
専任教員数(人) | 学部 | 2015 | 46 | 95 |
一人当たり貸出冊数(冊) | 大学 | 2015 | 9.7 | 4.8 |
<キャンパスの立地>
まずはキャンパスの立地から。青山学院大経済学部は、巨大ターミナル駅の渋谷、ハイセンスな街として知られる表参道から徒歩圏内の抜群の立地にキャンパスを構える。表参道周辺の物価は高いだろうが、若者の街・渋谷にも近いため、キャンパス立地の利便性は極めて高いといえる。
一方の中央大経済学部は、東京都八王子市の多摩キャンパスで4年間を過ごすことになり、いわゆる典型的な「郊外型キャンパス」である。静かな環境で大学生活を過ごしたい場合はうってつけの環境であるが、「遊びたい」と考えている学生は青山学院大の青山キャンパスと比べると見劣りするかもしれない。
したがって、普通に考えるならば、キャンパスの立地については青山学院大経済学部に軍配が上がるだろう。
<ドロップアウトリスク>
続いて、誰しも避けては通れない、ドロップアウトのリスク。せっかく頑張って勉強して大学に入学したのに、退学してしまっては元も子もない。双方とも大規模大学であるため、退学率は注視すべきデータであるが、中央大経済学部の方が低いことがわかる。しかし、その差はわずかで、青山学院大経済学部も良好な数値である。
なお、大学通信社による2016年度「面倒見が良い大学」ランキング(進学校の進路指導教員にアンケートを行って選定)においては、青山学院大は27位(26ポイント)、中央大が20位(29ポイント)となっており、高校教育の現場においては、中央大の方が「面倒見が良い」という印象があるようだ。
<学生の属性>
次に、学生の属性を比較していくと、学部単位の男女比についてはほとんど同じであるが、キャンパス全体の男女比は青山学院大の方が10%以上高い。
一方で、地方出身者は中央大が青山学院大と比べてやや多い特徴がある。10%ほどの差ではあるものの、地方出身者にとっては、中央大の方が同郷の仲間がいる可能性が高く、学生の輪に溶け込みやすい可能性はある。
なお、留学生比率については、中央大経済学部の方がかなり高く、国際色豊かな教育環境という意味では、中央大経済学部が優れているといえる。
<教育面>
次に、教育面を比較していくと、現在、各大学が競うように力を入れている「留学」については、青山学院大がやや優勢か。先輩の学生が留学に行っている割合が多ければ、自然と留学が身近になるため、もし留学をしたいと考えているのであれば、留学している比率の高い方へ行くというのも一つの手だろう。
一方で、専任教員一人当たりの学生数(ST比)は、中央大経済学部の方がより少なく、「少人数教育」の環境が整っているといえる。
なお、学生がどれだけ勉強しているかの指標の一つである「一人当たりの貸出冊数」については、青山学院大の勝ちである。この数字は逆に中央大が低すぎであり、中央大のマイナスポイントであるだろう。
実際の教育効果については、比較が難しいが、大学通信社が進学校の進路指導教員に「進学して伸びた大学」と「進学して伸び悩んだ大学」をアンケートしている。
2014年10月に実施したアンケートでは、「進学して伸びた」と答えた数は、青山学院大が9人、中央大が19人、一方で「進学して伸び悩んだ」と答えた数は、青山学院大が9人、中央大が10人であり、高校側の印象では、中央大の方が勝っているようだ。
その他の比較としては、同じく大学通信社による2014年度「入学後、生徒の満足度が高い大学」ランキング(進学校の進路指導教員が投票することで選定)において、青山学院大は21位(24ポイント)、中央大は28位(17ポイント)となっている。こちらでは青山学院大が優位のようだ。
上記を総合すると、キャンパスの立地以外は互角だが、キャンパスの立地を加味するとやや青山学院大が優勢のような印象を受ける。
「どちらが幸せな人生を送れる進路に進めるか」
項目名 | 数値単位 | 数値年度 | 青山学院大学 経済学部 | 中央大学 経済学部 |
主要企業400社への就職率(%) | 大学 | 2016 | 29.8 | 23.3 |
卒業生数(人) | 学部 | 2015 | 470 | 1119 |
進学者数(人) | 学部 | 2015 | 3 | 25 |
進学率(%) | 学部 | 2015 | 0.60% | 2.20% |
公務員就職者数(人) | 学部 | 2015 | 14 | 100 |
公務員就職比率(%) | 学部 | 2015 | 3.00% | 8.90% |
警察官就職者数(人) | 大学 | 2015 | 16 | 28 |
国家公務員総合職(人) | 大学 | 2015 | 4 | 48 |
CA採用数(人) | 大学 | 2014 | 50 | 13 |
国会議員の数(人) | 大学 | 2015 | 10.000 | 31.000 |
上場企業の社長数(人) | 学部 | 2006 | 14 | 11 |
社長の数(人) | 大学 | 2015 | 4,025.000 | 8,534.000 |
社長になりやすさ (社長の数/学生数) | 大学 | 2015 | 0.23 | 0.34 |
上場企業の役員数(人) | 学部 | 2006 | 76.000 | 102.000 |
上場企業の役員数(人) | 大学 | 2015 | 233 | 969 |
上場企業の役員になりやすさ (上場企業役員数/学生数) | 大学 | 2015 | 0.013 | 0.039 |
<大企業に入りたい>
大企業社員として就職すれば、身分は安定し、給与・福利厚生などの待遇面での心配も少ない。その意味で、主要400社への就職率を比較材料として示しているが、青山学院大が6%ほど高い。ただし、男子学生のみで考えると、両校の差はほとんどないだろう。というもの、主要400社の就職率データには「一般職」での就職が含まれており、その場合は「総合職」より入社しやすい傾向がある。青山学院大は先述の通り、女子学生が多く、この数字が高く出やすい。そのため、男子学生で「一般職」を選ぶケースはほぼないと考えられることから、「総合職」として400社に就職できる可能性は、ほぼ同じと考えられる。
もっとも、いわゆる「学歴フィルター」の対象としては、青山学院大経済学部と中央大経済学部で差がつくことは考えられないため、いかに充実した(中身のある)大学生活を送るかによって、大企業に就職できるか・できないかは変わってくる。大企業に就職したいからという理由でどちらかの大学を選ぶという判断材料にはなりえないだろう。
<公認会計士になりたい>
経済学部を選ぶのであれば、難関資格である公認会計士を目指す人もいるかもしれない。もし、公認会計士を目指すのであれば、毎年100名程度の合格者を輩出している中央大学を選ぶべきだろう。対して、青山学院大の合格者数は約30名程度であり、蓄積された資格試験ノウハウ等に明確な差があると考えてよい。
なお、公認会計士を目指すとなると「大学時代に遊ぶ」という考えは捨てる必要が出てくる。そういった意味でもより「田舎」のキャンパスが都合が良いかもしれない。
<公務員になりたい>
学部単体の公務員就職比率は、中央大経済学部が約3倍の数値を誇っている。この差を見る限りでは、「公務員になりたい」という明確な目標がある人であれば、中央大学を選んだ方が良いかもしれない。中央大学は伝統的に資格試験や公務員試験に強く、勉強する環境が整っている。
<主要な就職先の比較>
青山学院大学 経済学部 | 中央大学 経済学部 |
みずほフィナンシャルグループ | みずほフィナンシャルグループ |
三井住友銀行 | 三菱東京UFJ銀行 |
りそなグループ | 三井住友銀行 |
三菱東京UFJ銀行 | 国税庁 |
第一生命保険 | 東京都庁 |
日本郵政グループ | 大和証券グループ本社 |
三井住友海上火災保険 | 商工組合中央金庫 |
全日本空輸 | SMBC日興証券 |
横浜銀行 | りそなホールディングス |
日本生命保険 | 神奈川県相模原市役所 |
主要就職先の上位は、青山学院大経済学部と中央大経済学部で明確な差は見られず、大手金融機関が並んでいる。しかし、中央大学経済学部は4位以降に公務員が頻出しており、中央大の公務員就職の強さを物語っている。
<出世した先輩の多さ>
先輩がどの程度、出世しているかを比較すると、中央大経済学部が優勢と言えよう。なお、大学全体の「上場企業の役員数」などは中央大が圧倒しているが、中央大の看板学部・法学部による部分が大きいため、経済学部の割合はさほど高くない。とはいうものの、「学閥」といった場合、通常は「大学名」で判断されるケースが多いため、中央大出身の役員が多いことは、中央大学経済学部出身者にとって有利な可能性はある(「学閥」が存在すればの話ではあるが…)。
<上位校との差について>
双方の大学とも就職実績については良好といえる。しかし一方で、「早慶」との学歴フィルターの差の存在も忘れてはいけない。入社試験を受けるエントリー段階では公平であっても、いざ採用実績となるとMARCHがほとんど入っていないケースが、総合商社などに見られる。そういった企業を目指すのであれば、一浪してでも早慶などにチャレンジした方がいいという判断もありうる。
また、両大学ともメガバンクなど大手金融機関に就職する人が多いが、それらの企業で出世したいのであれば、浪人してでも東大や一橋などに頑張って入った方がいいかもしれない。大手金融機関の中には、入社時よりランク付けがなされており、早慶MARCH出身者が出世できる可能性が低くなっており、いわゆる現場の「ソルジャー部隊」として重宝されているに過ぎないといった現実もある。入学前からこのようなことを考えるのは難しいだろうが、就職活動時にも、このことは気に留めておいた方がよいだろう。
<どちらの大学が頑張って「改革」しているか>
項目名 | 数値単位 | 数値年度 | 青山学院大学 経済学部 | 中央大学 経済学部 |
国からの特別補助金支給額 (千円) | 大学 | 2015 | 505,391 | 596,960 |
学生一人当たり 特別補助金支給額(千円) | 大学 | 2015 | 29 | 24 |
大学教育の現場では、随分前から「改革の必要性」が叫ばれている(大手大学ほど、その改革が進んでいないともいわれる…)。その観点でどちらが頑張って「改革」しているかを、最後に見てみたい。ここで比較したいデータは、改革を行っている大学に国から支給される「特別補助金」の額である。
この数値を比較すると、青山学院大が勝っているが、額はあまり差がないため、互角といえよう。
なお、大学通信社による2014年度「改革力が高い大学」ランキング(進学校の進路指導教員が投票することで選定)においては、青山学院大が17位(30ポイント)、中央大が50位(7ポイント)と、高校現場の印象では、青山学院大が優位のようだ。
<まとめ>
以上、青山学院大経済学部と中央大経済学部を比較してみてきたが、総合的にみると互角に近い。その人の価値観によって選択する大学が変わってくる典型であろう。例えば、都会でのキャンパスライフを過ごしたければ青山学院大を選ぶだろうし、一方で公務員試験や公認会計士試験を目指すのであれば中央大を選ぶことになるだろう。実際に両方に合格した人の選択を見てみてみると、青山学院大経済学部に進学した人が88%、中央大経済学部に進学した人が13%(サンデー毎日2014年7月20日号より)という結果が出ている。 これだけの差があるとは今回の比較からは確認できなかったが、受験生にとっては都会のキャンパスライフがやはり魅力的ということだろう。