2017年1月28日土曜日

日東駒専対決:駒澤大法学部VS東洋大法学部

 今回の比較対象は、関東の有名大学の中の、いわゆる「日東駒専」の中で永らくライバルとされてきた駒澤大学と東洋大学。その中で、両大学の「法学部」に合格した場合、どちらに進学するのが良いかという観点から比較していきたい。

※各指標の定義・根拠・出典等については、こちらのページをご覧ください。
 また、スマートフォンで閲覧する場合は、画面を横にすると各指標が見やすいです。


「入学段階では、どちらが優秀な学生が集まっているか」

項目名数値単位数値年度駒澤大学
法学部
東洋大学
法学部
大学全体の学部生数(人)大学20151523026211
学部の学生数(人)学部201530272402
入試難易度(河合塾)学部20165052.5
入試難易度(駿台)学部20165049
入試難易度(ベネッセ)学部20165761
入学者数(人)学部2016775713
競争入試での入学者(人)学部2016496436
競争入試の割合(%)学部201664.00%61.20%
現役入学者の比率(%)学部201684.586.00%

 入試難易度は、東洋大法学部が2勝1敗の数値となっている。僅差であり、明確にどちらが上とは言いにくい。
 また、偏差値操作の手法として用いられる、「競争入試の割合」については、東洋大がやや低いが、大きな差はないため、難易度は額面通りの受け取りで良いだろう (一般入試、センター試験利用入試などの「競争入試」で入学する学生の方が、推薦入試や附属高上がりの学生よりも学力が高いケースが多く、競争入試の割合を下げることにより偏差値を高く見せる大学もあるため、本ブログでは、「競争入試の割合」を比較するようにしている)。
 したがって、「優秀な学生が集まっているか」という観点からは、ほぼ互角か、強いていうなれば、やや東洋大法学部が優勢といっていいだろう。


「費用対効果はどちらが高いか」


項目名数値単位数値年度駒澤大学
法学部
東洋大学
法学部
4年間でかかる学費(万円)学部2015373389
学生還元率(%)大学201529.10%28.60%
奨学費(円)大学2015417,556,391722,379,911
学生一人当たりの奨学費(円)大学201527,41727,560
卒業率(%)学部20147284
最寄駅の平均家賃(万円)20166.5~76.5~7

 4年間でかかる学費については、駒澤大法学部の方が16万円程度安い(学科や専攻によって学費が違う可能性があるため、詳細な比較は各大学のホームページをご確認いただきたい)。
 学生還元率や奨学費のデータについては、ほとんど差がなく「学費をどのくらい学生のためにつかっているか」という観点では互角といっていい。
 また、キャンパス周辺の家賃を比較してみると、コスト的にはほとんど変わらないだろう。
 留年リスク(4年間で卒業できない比率)については、駒澤大法学部が13%程度高い。これは少なくはない差であり、ひとつの判断材料になるだろう。
 上記を総合すると、コストパフォーマンス的には、やや駒澤大法学部が優勢といえようか(留年率が高いのは少し気になるところではあるが…)。


「どちらの大学が充実した学生生活を過ごせるか」


項目名数値単位数値年度駒澤大学
法学部
東洋大学
法学部
キャンパス学部2016駒澤【中間型】白山【都市型】
1年以内退学率(%)学部20142.51.7
4年間退学率(%)学部201410.77.5
入学者の地元占有率(%)学部201626.823.70%
女子入学者の割合(%)学部201631.532.00%
大学全体の女子学生数(人)大学2016580612338
大学全体の男子学生数(人)大学2016942017514
大学全体の女子学生比率(%)大学201638.10%41.30%
女性ファッション誌登場人数(人)大学2011299
受入留学生数(人)学部201587
留学生比率
(留学生数/全学生数)
学部20160.30%0.30%
長期留学派遣学生数(人)大学20151193
長期留学派遣の割合(%)大学20150.30%1.40%
ST比(人)学部201586.545.3
専任教員数(人)学部20153553
一人当たり貸出冊数(冊)大学20155.97.2

<キャンパスの立地>
 まずはキャンパスの立地から。駒澤大法学部は、渋谷駅から東急田園都市線で7分の「駒澤大学駅」から徒歩10分の「駒澤キャンパス」で4年間を過ごす。高級な住宅街の中の、とても狭いキャンパスであるが、近隣の駒澤公園という「逃げ場所」があるため、さほど気にはならないかもしれない。まさに都市型キャンパスと郊外型キャンパスの間の、「住宅街型キャンパス」といっても良いだろう。
 一方の東洋大法学部は文京区の白山駅から徒歩5分の「白山キャンパス」で4年間を過ごす。都心部に近いながら、周囲は比較的静かな環境で、周囲のお店もさほど多くはないが、地下鉄を使えばどこに行くのも便利である。やや狭いのが気になるが、都市型キャンパスで静かな環境を維持しているという意味では、キャンパス環境としてはかなり恵まれているといえる。
 両者を比較すると、キャンパスの立地については、どちらもポテンシャルが高い。甲乙つけにくいが、強いて優劣をつけるなら、やや東洋大が優勢といえるだろう。

<ドロップアウトリスク>
 続いて、誰しも避けては通れない、ドロップアウトのリスク。せっかく頑張って勉強して大学に入学したのに、退学してしまっては元も子もない。双方とも大規模大学であるため、退学率は注視すべきデータであるが、東洋大法学部が低いことが分かる。一方で、駒澤大学法学部は4年退学率が10%を超えており、やや高い印象がある。

<学生の属性>
 次に、学生の属性を比較していくと、女子学生比率はやや東洋大法学部が多いが、気にする差ではないだろう。
 受入留学生の比率についても、同率であり、「多様な価値観に触れる」をトータルでみると、差はほとんどないと思っていいだろう。

<教育面>
 次に、教育面を比較していくと、現在、各大学が競うように力を入れている「留学」については、東洋大の方が優勢といえる。長期留学している学生の割合が4倍以上である。先輩の学生が留学に行っている割合が多ければ、自然と留学が身近になるため、もし留学をしたいと考えているのであれば、注目したい数値であり、一つの判断材料になるだろう。なお、東洋大は「スーパーグローバル大学」として採択されており、今後も国際化が進んでいくことが予想される。
 また、専任教員一人当たりの学生数(ST比)は、東洋大法学部の方が低く、少人数教育の環境が整っている。駒澤大法学部はST比が高すぎであり、ここはマイナスポイントである。
 なお、学生がどれだけ勉強しているかの指標の一つである「一人当たりの貸出冊数」については、東洋大が勝っている。

 上記を総合すると、充実したキャンパスライフという観点から見ると、東洋大法学部が優勢といっていいだろう。


「どちらが幸せな人生を送れる進路に進めるか」


項目名数値単位数値年度駒澤大学
法学部
東洋大学
法学部
主要企業400社への就職率(%)大学201610.510%以下
卒業生数(人)学部2015680612
進学者数(人)学部20151314
進学率(%)学部20151.90%2.30%
公務員就職者数(人)学部20156761
公務員就職比率(%)学部20159.90%10.00%
警察官就職者数(人)大学20155761
国家公務員総合職(人)大学2015数値なし(1人以下)数値なし(1人以下)
CA採用数(人)大学2014数値なし(8人以下)数値なし(8人以下)
国会議員の数(人)大学201503
上場企業の社長数(人)学部2006数値なし(5人以下)数値なし(5人以下)
社長の数(人)大学201527702868
社長になりやすさ
(社長の数/学生数)
大学20150.180.11
上場企業の役員数(人)学部2006数値なし(46人以下)数値なし(46人以下)
上場企業の役員数(人)大学20158786
上場企業の役員になりやすさ
(上場企業役員数/学生数)
大学20150.0060.003

<大企業に入りたい>
 大企業社員として就職すれば、身分は安定し、給与・福利厚生などの待遇面での心配も少ない。その意味で、主要400社への就職率を比較材料として示しているが、駒澤大の方が高い数字が出ている。
 いわゆる「学歴フィルター」の対象としては、駒澤大法学部と東洋大法学部で差がつくことは考えられないため、いかに充実した(中身のある)大学生活を送るかによって、大企業に就職できるか・できないかは変わってくる。大企業に就職したいからという理由でどちらかを選ぶという判断材料にはなりえないだろう。

<公務員になりたい>
 学部単体の公務員就職比率は、ほとんど差はなく互角といっていいだろう。どちらも高い数値といえる。

<主要な就職先の比較>


駒澤大学
法学部
東洋大学
法学部
警視庁みずほフィナンシャルグループ
みずほフィナンシャルグループ京葉銀行
東京消防庁東日本旅客鉄道
防衛省(自衛隊)大東建託
日本郵政グループ積水ハウス
千葉県警察本部第一生命保険
東京都特別区東京地下鉄
新日鉄住金ヤマト運輸
神奈川県警察本部花王カスタマーマーケティング
法務省キヤノンシステムアンドサポート

 主要就職先については、駒澤大法学部の方が公務員就職が多いのが目立つ。その他は双方とも大手金融機関など中心とした安定企業が並んでいる。就職実績については、差はあまり見られない。

<出世した先輩の多さ>
 双方とも歴史がある大学であり、上場企業の役員などを輩出している。数を比較すると、駒澤大がやや優位である。双方とも大規模大学であり、卒業生が全国に散らばっている。卒業生のネットワークも期待できるであろう。


<どちらの大学が頑張って「改革」しているか>


項目名数値単位数値年度駒澤大学
法学部
東洋大学
法学部
国からの特別補助金支給額
(千円)
大学201595,193413,553
学生一人当たり
特別補助金支給額(千円)
大学2015616

 大学教育の現場では、随分前から「改革の必要性」が叫ばれている(大手大学ほど、その改革が進んでいないともいわれる…)。その観点でどちらが頑張って「改革」しているかを、最後に見てみたい。扱うデータは、改革を行っている大学に国から支給される「特別補助金」の額である。
 この数値を比較すると、東洋大が勝っており、改革で先行しているイメージがある。

<まとめ>
 以上、駒澤大法学部と東洋大法学部を比較してみてきた。全般的には、東洋大法学部が優勢である。なお、実際に双方の学部に合格した人の選択を見てみてみると、駒澤大法学部に進学した人が11%、東洋大法学部に進学した人が89%(サンデー毎日2014年7月20日号より)という結果が出ている。