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「入学段階では、どちらが優秀な学生が集まっているか」
項目名 | 数値単位 | 数値年度 | 青山学院大学法学部 | 学習院大学法学部 |
大学全体の学部生数(人) | 大学 | 2015 | 17601 | 8261 |
学部の学生数(人) | 学部 | 2015 | 2150 | 2066 |
入試難易度(河合塾) | 学部 | 2016 | 60 | 57.5 |
入試難易度(駿台) | 学部 | 2016 | 57 | 56 |
入試難易度(ベネッセ) | 学部 | 2016 | 69 | 70 |
入学者数(人) | 学部 | 2016 | 509 | 501 |
競争入試での入学者(人) | 学部 | 2016 | 343 | 195 |
競争入試の割合(%) | 学部 | 2016 | 67.40% | 38.90% |
現役入学者の比率(%) | 学部 | 2016 | 79.4 | 88.4 |
入試難易度は2勝1敗で青山学院大法学部の勝ち。「河合塾」と「駿台」は青学優位、逆に「ベネッセ」は学習院が優位の数値を出している。
なお、「競争入試の割合」は青山学院大法学部の方が有意に高いことから、優劣を言えば、青山学院大法学部がやや上だろうか。
(GMARCHクラスの大学では、競争入試(一般入試、センター試験利用入試)で入学する学生の方が、推薦入試や附属高上がりの学生よりも学力が高いケースが多い。その意味で、競争入試で入った学生の割合が多いほど優秀と言えるのだが、競争入試の割合を高くすると、間口が広がってしまうことで入試偏差値が下がる恐れもある。)
また、浪人比率も青山学院大が高いため、入試時点で学生を引きつける力としては青山学院大の方が少し上と言えるだろう。
「費用対効果はどちらが高いか」
項目名 | 数値単位 | 数値年度 | 青山学院大学法学部 | 学習院大学法学部 |
4年間でかかる学費(万円) | 学部 | 2015 | 444 | 424 |
学生還元率(%) | 大学 | 2015 | 31.80% | 37.00% |
奨学費(円) | 大学 | 2015 | 385,868,990 | 282,939,439 |
学生一人当たりの奨学費(円) | 大学 | 2015 | 21,923 | 34,250 |
卒業率(%) | 学部 | 2014 | 73.9 | 83.8 |
最寄駅の平均家賃(万円) | 2016 | 9.5~10 | 6~6.5 |
4年間でかかる学費については、学習院大の方が20万円ほど安い(学科や専攻によって学費が違う可能性があるため、詳細な比較は各大学のホームページをご確認いただきたい)。
また、学生還元率や一人当たりの奨学費も学習院大が勝っており、コスト面では学習院が有利といえる。
なお、一人暮らしをする場合、キャンパス周辺の家賃を考えてみるも、学習院大の方が割安となることが予想される(大学と住居が近ければ利便性も高く、充実した学生生活になる可能性が高いという考えからこの家賃相場を比較している)。
さらに、留年リスク(4年間で卒業できない比率)についても、学習院大法学部の方が10%ほど低いのも一つの判断材料にはなるだろう。
(言うまでもなく、留年した場合には余計に学費がかかる)
以上の通り、コスト面では、それなりの差をつけて学習院大法学部に軍配が上がる。
「どちらの大学が充実した学生生活を過ごせるか」
項目名 | 数値単位 | 数値年度 | 青山学院大学法学部 | 学習院大学法学部 |
キャンパス | 学部 | 2016 | 青山【都市型】 | 目白【都市型】 |
1年以内退学率(%) | 学部 | 2014 | 1.2 | 0.4 |
4年間退学率(%) | 学部 | 2014 | 5.4 | 3.7 |
入学者の地元占有率(%) | 学部 | 2016 | 26.7 | 38.3 |
大学全体の首都圏出身比率(%) | 大学 | 2015 | 66 | |
女子入学者の割合(%) | 学部 | 2016 | 46.8 | 49.1 |
大学全体の女子学生数(人) | 大学 | 2016 | 8707 | 4276 |
大学全体の男子学生数(人) | 大学 | 2016 | 9027 | 4282 |
大学全体の女子学生比率(%) | 大学 | 2016 | 49.10% | 50.00% |
女性ファッション誌登場人数(人) | 大学 | 2011 | 277 | 102 |
受入留学生数(人) | 学部 | 2015 | 34 | 1 |
留学生比率 (留学生数/全学生数) | 学部 | 2016 | 1.60% | 0.00% |
長期留学派遣学生数(人) | 大学 | 2015 | 84 | 70 |
長期留学派遣の割合(%) | 大学 | 2015 | 1.90% | 3.40% |
ST比(人) | 学部 | 2015 | 53.8 | 49.2 |
専任教員数(人) | 学部 | 2015 | 40 | 42 |
一人当たり貸出冊数(冊) | 大学 | 2015 | 9.7 | 11.3 |
<キャンパスの立地>
まずはキャンパスの立地から。青山学院大法学部は、巨大ターミナル駅の渋谷、ハイセンスな街として知られる表参道から徒歩圏内の抜群の立地にキャンパスを構える。
表参道周辺の物価は高いだろうが、若者の街・渋谷にも近いため、キャンパス立地の利便性は極めて高いといえる。
一方の学習院大法学部も、立地は良く、JR山手線の目白駅から徒歩30秒の立地にキャンパスを構えている。
通常、都市型キャンパスは学生数に対して敷地が狭く、窮屈なイメージがあるが、学習院は例外で、緑の多い広々としたキャンパスで4年間を過ごせる。
キャンパスの立地については、はっきり言って甲乙はつけがたいが、キャンパスの広さ等を比較すると、環境的には学習院大が勝っていると言えるだろう。学習院大のキャンパス環境は、私立大学の中でもトップクラスといえるほどである。
<ドロップアウトリスク>
続いて、誰しも避けては通れない、ドロップアウトのリスク。せっかく頑張って勉強して大学に入学したのに、退学してしまっては元も子もない。双方とも大規模大学であるため、退学率は注視すべきデータであるが、学習院大法学部の方が低いことがわかる。
なお、大学通信社による2016年度「面倒見が良い大学」ランキング(進学校の進路指導教員にアンケートを行って選定)においては、青山学院大は27位(26ポイント)、学習院大が30位(26ポイント)となっており、高校教育の現場においては、青山学院大の方が「面倒見が良い」という印象があるようだ。
<学生の属性>
次に、学生の属性を比較していくと、似ている部分が多い。ともに女子学生比率の高いが、この2校では比較にならないのがわかる。
多くの大学において、法学部では男子学生が多いのが一般的であるが、双方とも約半数が女子学生である。
一方で、違いを見つけるとすれば、地方出身者については青山学院大が多いこと、そして留学生の割合も青山学院大が多いことが分かる(留学生比率については、学習院大が、かなり残念な数値となっている…)。
したがって、多様な人材を集めており、多様な価値観に触れる機会が多いのはどちらかという観点でみれば、青山学院大に軍配が上がる。
<教育面>
次に、教育面を比較していくと、現在、各大学が競うように力を入れている「留学」については、学習院大がやや優勢か。
先輩の学生が留学に行っている割合が多ければ、自然と留学が身近になるため、もし留学をしたいと考えているのであれば、留学している比率の高い方へ行くというのも一つの手だろう。
一方で、専任教員一人当たりの学生数(ST比)は、学習院大法学部の方が低いが、さほど差はないため「少人数教育」の環境についてはほぼ互角か。
なお、学生がどれだけ勉強しているかの指標の一つである「一人当たりの貸出冊数」については、学習院大がやや多いという数字が出ている。
実際の教育効果については、比較が難しいが、大学通信社が進学校の進路指導教員に「進学して伸びた大学」と「進学して伸び悩んだ大学」をアンケートしている。
2014年10月に実施したアンケートでは、「進学して伸びた」と答えた数は、青山学院大が9人、学習院大が7人、一方で「進学して伸び悩んだ」と答えた数は、青山学院大が9人、学習院大がランク外(3人以下)であり、高校側の印象では、学習院大の方が勝っているようだ。
その他の比較としては、同じく大学通信社による2014年度「入学後、生徒の満足度が高い大学」ランキング(進学校の進路指導教員が投票することで選定)において、青山学院大は21位(24ポイント)、学習院大は27位(18ポイント)となっている。こちらでも青山学院大がやや優位のようだ。なお、これらの高校教員向けのアンケートについては、学生数が多い大学が有利になる傾向にあるため、学生数が学習院大の2倍程度いる青山学院大の方が有利な結果が出やすいことは考慮しておいた方が良いだろう。
上記を総合すると、充実したキャンパスライフという観点から見ると、やや学習院大が優勢のような印象を受ける。
「どちらが幸せな人生を送れる進路に進めるか」
項目名 | 数値単位 | 数値年度 | 青山学院大学法学部 | 学習院大学法学部 |
主要企業400社への就職率(%) | 大学 | 2016 | 29.8 | 27.8 |
卒業生数(人) | 学部 | 2015 | 469 | 461 |
進学者数(人) | 学部 | 2015 | 17 | 24 |
進学率(%) | 学部 | 2015 | 3.60% | 5.20% |
公務員就職者数(人) | 学部 | 2015 | 56 | 46 |
公務員就職比率(%) | 学部 | 2015 | 11.90% | 10.00% |
警察官就職者数(人) | 大学 | 2015 | 16 | 7 |
国家公務員総合職(人) | 大学 | 2015 | 4 | 数値なし(1人以下) |
CA採用数(人) | 大学 | 2014 | 50 | 12 |
国会議員の数(人) | 大学 | 2015 | 10 | 7 |
上場企業の社長数(人) | 学部 | 2006 | 数値なし(5人以下) | 数値なし(5人以下) |
社長の数(人) | 大学 | 2015 | 4025 | 1604 |
社長になりやすさ (社長の数/学生数) | 大学 | 2015 | 0.23 | 0.19 |
上場企業の役員数(人) | 学部 | 2006 | 数値なし(46人以下) | 数値なし(46人以下) |
上場企業の役員数(人) | 大学 | 2015 | 233 | 146 |
上場企業の役員になりやすさ (上場企業役員数/学生数) | 大学 | 2015 | 0.013 | 0.018 |
<大企業に入りたい>
大企業社員として就職すれば、身分は安定し、給与・福利厚生などの待遇面での心配も少ない。その意味で、主要400社への就職率を比較材料として示しているが、青山学院大がやや高いものの、ほぼ互角という数字が出ている。
いわゆる「学歴フィルター」の対象としては、青山学院大法学部と学習院大法学部で差がつくことは考えられないため、いかに充実した(中身のある)大学生活を送るかによって、大企業に就職できるか・できないかは変わってくるだろう。
<法曹(弁護士、検察官、裁判官)になりたい>
法学部を選ぶのであれば、弁護士などの法曹になりたい人も多いと思うが、もし法曹として進路を希望するのであれば、学習院大の方が「進学率」が高いことから、学習院大法学部をおすすめする。
法科大学院(ロースクール)が設立されて以後、大学別の司法試験合格者ランキングは当然のように「大学院」の数字となっており、学部レベルでのランク付けは難しくなっているのが現状である。
そのため、ロースクールに進学する割合が一つの目安となる。ただし、学習院大法学部の進学率も決して高いとは言えないため、法曹志望者はかなりの覚悟をもって入学する必要があるだろう(他の学生が大学生活を謳歌するなか、脇目も振らずに勉強する忍耐力が必要となる)。
<公務員になりたい>
学部単体の公務員就職比率は、ほとんど変わらない。どちらに進学しても公務員になれる確率は変わらないだろう。
しかし、いわゆるキャリア官僚職「国家公務員総合職」への道は、これまでの合格実績からすると双方の大学ともきわめて厳しいといえる。もしキャリア官僚になりたければ、浪人して、早慶以上、できれば東大・一橋レベルの大学に入学した方がよいだろう。
<主要な就職先の比較>
青山学院大学法学部 | 学習院大学法学部 |
東京都特別区 | みずほフィナンシャルグループ |
みずほフィナンシャルグループ | 東京都特別区 |
三井住友銀行 | 三菱東京UFJ銀行 |
全日本空輸 | 三菱UFJ信託銀行 |
三菱UFJモルガン・スタンレー証券 | 全日本空輸 |
三井住友信託銀行 | りそなホールディングス |
国家公務員 | 野村証券 |
三菱東京UFJ銀行 | 三井住友銀行 |
埼玉県 | 埼玉県市町村 |
SMBC日興証券 | 松屋 |
主要就職先は、青山学院大法学部と学習院大法学部でほとんど似ており、明確な差は感じられない。大手金融機関と公務員が上位となっている。
<出世した先輩の多さ>
先輩がどの程度、出世しているかを比較すると、こちらもまた変わらない。双方とも名門大学の名門学部であり、上場企業の役員をそれなりに輩出しているが、「学閥」というほどではなく、「学閥」によるメリットはあまり期待できない、というのが実情だろう。
<上位校との差について>
双方の大学とも就職実績については良好といえる。しかし一方で、「早慶」との学歴フィルターの差の存在も忘れてはいけない。入社試験を受けるエントリー段階では公平であっても、いざ採用実績となるとMARCHがほとんど入っていないケースが、総合商社などに見られる。そういった企業を目指すのであれば、一浪してでも早慶などにチャレンジした方がいいという判断もありうる。
また、両大学ともメガバンクなど大手金融機関に就職する人が多いが、それらの企業で出世したいのであれば、浪人してでも東大や一橋などに頑張って入った方がいいかもしれない。大手金融機関の中には、入社時よりランク付けがなされており、早慶MARCH出身者が出世できる可能性が低くなっており、いわゆる現場の「ソルジャー部隊」として重宝されているに過ぎないといった現実もある。入学前からこのようなことを考えるのは難しいだろうが、就職活動時にも、このことは気に留めておいた方がよいだろう。
<どちらの大学が頑張って「改革」しているか>
項目名 | 数値単位 | 数値年度 | 青山学院大学法学部 | 学習院大学法学部 |
国からの特別補助金支給額 (千円) | 大学 | 2015 | 505,391 | 314,381 |
学生一人当たり 特別補助金支給額(千円) | 大学 | 2015 | 29 | 38 |
大学教育の現場では、随分前から「改革の必要性」が叫ばれている(大手大学ほど、その改革が進んでいないともいわれる…)。その観点でどちらが頑張って「改革」しているかを、最後に見てみたい。
扱うデータは、改革を行っている大学に国から支給される「特別補助金」の額である。
この数値を比較すると、学習院大が勝っており、改革で先行しているイメージがある。
なお、大学通信社による2014年度「改革力が高い大学」ランキング(進学校の進路指導教員が投票することで選定)においては、青山学院大が17位(30ポイント)、学習院大は50位以下のランク外であり、高校現場の印象では、青山学院大がやや優位のようだ。
<まとめ>
以上、青山学院大法学部と学習院大法学部を比較してみてきた。細かい点では青山学院大法学部が勝っている部分も少なくないが、全体としては、学習院大法学部の方が優位と感じられる。実際に両方に合格した人の選択を見てみても、青山学院大法学部に進学した人が31%、学習院大法学部に進学した人が69%(サンデー毎日2014年7月20日号より)という結果が出ている。