2017年7月30日日曜日

関関同立対決:同志社大商学部VS関西学院大商学部

 関関同立の中の「上位校」として比べられることの多い、同志社大と関西学院大。今回は両校の「商学部」に合格した場合、どちらに進学するのが良いかという観点から比較していきたい。
(一般的な評価は「同志社大が優勢」という評価のようだが、果たしてその評価が正しいのか検証していく。)


※各指標の定義・根拠・出典等については、こちらのページをご覧ください。

 また、スマートフォンで閲覧する場合は、画面を横にすると各指標が見やすいです。


「入学段階では、どちらが優秀な学生が集まっているか」

項目名数値
単位
数値年度同志社大学
商学部
関西学院大学
商学部
大学全体の学部生数(人)大学20152673323122
学部の学生数(人)学部201536902681
入試難易度(河合塾)学部20166057.5
入試難易度(駿台)学部20165954
入試難易度(ベネッセ)学部20167168
入学者数(人)学部2016933738
競争入試での入学者(人)学部2016434402
競争入試の割合(%)学部201646.50%54.50%
現役入学者の比率(%)学部201685.989.6

 入試難易度は3社とも同志社大商学部が上の数値を出している。「優秀な学生が集まっているか」という観点からは、同志社大商学部に軍配が上がる。
 なお、「競争入試の割合」は関西学院大商学部が高い。関西学院大商学部の難易度が低めに出ることが考えられるため、実際の学力差は見かけの数値以上に小さいかもしれない。
(一般入試、センター試験利用入試などの「競争入試」で入学する学生の方が、推薦入試や附属高上がりの学生よりも学力が高いケースが多く、競争入試の割合を下げることにより偏差値を高く見せる大学があため、本ブログでは、競争入試の割合を比較している。)


「費用対効果はどちらが高いか」

項目名数値
単位
数値年度同志社大学
商学部
関西学院大学
商学部
4年間でかかる学費(万円)学部2015417411
学生還元率(%)大学201540.40%35.10%
奨学費(円)大学20151741210343996236718
学生一人当たりの奨学費(円)大学201565,13343,086
卒業率(%)学部201479.981.2
最寄駅の平均家賃(万円)20164~4.54~4.5

 4年間でかかる学費については、関西学院大商学部が6万円ほど安い(学科や専攻によって学費が違う可能性があるため、詳細な比較は各大学のホームページをご確認いただきたい)。
 一方で、学生還元率や一人当たりの奨学費は同志社大が多く、「学生が払った学費をどれだけ学生のために使っているか」という観点からは、同志社大に軍配が上がる。
 キャンパス周辺の家賃を比較してみると、ほとんど同じとなることが推測される。
 また、留年リスク(4年間で卒業できない比率)については、関西学院大商学部の方が低い。ただし、僅差であるため、判断材料にはならないだろう。
 上記を総合すると、コスト面では、僅かばかり関西学院大商学部が優位といえるだろうか。


「どちらの大学が充実した学生生活を過ごせるか」

項目名数値
単位
数値年度同志社大学
商学部
関西学院大学
商学部
キャンパス学部2016今出川
【都市型】
西宮上ケ原
【中間型】
1年以内退学率(%)学部20140.61.2
4年間退学率(%)学部201434.3
入学者の地元占有率(%)学部201618.943.7
女子入学者の割合(%)学部201642.844.3
大学全体の女子学生数(人)大学20161134911390
大学全体の男子学生数(人)大学20161570412108
大学全体の女子学生比率(%)大学201642.00%48.50%
女性ファッション誌
登場人数(人)
大学20111945
受入留学生数(人)学部20158830
留学生比率
(留学生数/全学生数)
学部20162.40%1.10%
長期留学派遣学生数(人)大学201523396
長期留学派遣の割合(%)大学20153.50%1.70%
ST比(人)学部201575.353.6
専任教員数(人)学部20154950
一人当たり貸出冊数(冊)大学201511.912.6

<キャンパスの立地>
 同志社大商学部は京都市内の地下鉄今出川駅から徒歩1分の「今出川キャンパス」で4年間を過ごす。歓楽街などはキャンパスから少し離れた場所まで繰り出すことになるが、特に不便はないだろう。関西の大学の中では、文句なしの「都市型キャンパス」といってよいだろう。
 一方の、関西学院大学はオシャレなキャンパスとして知られる「西宮上ケ原キャンパス」で4年間を過ごす。阪急今津線甲東園駅、仁川駅から徒歩15分で、アクセス面では、少し都市部から離れており、キャンパス外にほとんどお店などはない。しかし、キャンパス内の売店などは充実しており、なんでもキャンパス内で済ませられるようになっているため、大きな不便はないだろう。
 キャンパスの立地については、京都府と兵庫県で単純比較は難しいが、単純な交通の便で言えば同志社大商学部が優位とえよう。しかし、関西学院大のキャンパスもオシャレなキャンパスとして名高く、両者のキャンパスの評判は共に悪くない。価値観によってどちらが良いと思うかは異なると思われるため、実際に足を運んで、自分の目でキャンパスを確認することをおすすめする。

<ドロップアウトリスク>
 続いて、誰しも避けては通れない、ドロップアウトのリスク。せっかく頑張って勉強して大学に入学したのに、退学してしまっては元も子もない。双方とも大規模大学であるため、退学率は注視すべきデータであるが、同志社大商学部の方が低い。ただし、関西学院大商学部の数値も高いとはいえないため、判断材料にはならないだろう。

<学生の属性>
 学生の属性を比較していくと、学部単体では関西学院大商学部の女子学生比率がやや高いが、僅差である(大学全体としての差は6%)。
 外国人留学生の割合については、同志社大商学部が勝っている。「学習環境の国際性」については同志社大商学部が優勢である。

<教育面>
 教育面を比較していくと、現在、各大学が競うように力を入れている「留学」については、同志社大に軍配が上がる。長期留学派遣比率で2倍以上の差があるからだ。先輩の学生が留学に行っている割合が多ければ、自然と留学が身近になるため、もし留学をしたいと考えているのであれば、留学している比率の高い方へ行くというのも一つの手だろう。
 専任教員一人当たりの学生数(ST比)を比較すると、関西学院大商学部が低い。関西学院大商学部の方がより「少人数教育」の環境が整っているといえる。逆にこの同志社大商学部のST比は高すぎる印象を受けるため、マイナスポイントといえるだろう。
 なお、学生がどれだけ勉強しているかの指標の一つである「一人当たりの貸出冊数」については、僅差であるものの、関西学院大が勝っている。

 実際の教育効果については、比較が難しいが、大学通信社が進学校の進路指導教員に「進学して伸びた大学」と「進学して伸び悩んだ大学」をアンケートしている。
 2014年10月に実施したアンケートでは、「進学して伸びた」と答えた数は、同志社大が18人、関西学院大が6人、一方で「進学して伸び悩んだ」と答えた数は、同志社大が9人、関西学院大が8人であり、高校側の印象では、やや同志社大が優勢である。
 その他の比較としては、同じく大学通信社による2014年度「入学後、生徒の満足度が高い大学」ランキング(進学校の進路指導教員が投票することで選定)において、同志社大は16位(37ポイント)、関西学院大は36位(14ポイント)となっている。こちらも、同志社大がやや優位のようだ。

 上記を総合すると、充実したキャンパスライフという観点から見ると、ほぼ互角という印象である。大きな判断材料は、やはりキャンパスの立地になるだろうか。


「どちらが幸せな人生を送れる進路に進めるか」

項目名数値
単位
数値年度同志社大学
商学部
関西学院大学
商学部
主要企業400社への就職率(%)大学201632.528.2
卒業生数(人)学部2015820626
進学者数(人)学部201551
進学率(%)学部20150.60%0.20%
公務員就職者数(人)学部20152516
公務員就職比率(%)学部20153.00%2.60%
警察官就職者数(人)大学20151930
国家公務員総合職(人)大学2015269
CA採用数(人)大学20141131
国会議員の数(人)大学201535
上場企業の社長数(人)学部20061511
社長の数(人)大学201555613576
社長になりやすさ
(社長の数/学生数)
大学20150.210.15
上場企業の役員数(人)学部200698108
上場企業の役員数(人)大学2015472399
上場企業の役員になりやすさ
(上場企業役員数/学生数)
大学20150.0180.017

<大企業に入りたい>
 大企業社員として就職すれば、身分は安定し、給与・福利厚生などの待遇面での心配も少ない。その意味で、主要400社への就職率を比較材料として示しているが、同志社大が4%程度高い数字が出ている。また、商学部であれば、実態はこの数字より高い就職率を誇ると考えられる。

<公認会計士になりたい>
 商学部を選ぶのであれば、難関資格である公認会計士を目指す人もいるかもしれない。両大学とも毎年30~60名程度の合格者を輩出しているが、全体的に同志社大の合格実績が勝っている。ただ、大差ではないため、判断材料にはならないだろう。

<公務員になりたい>
 学部単体の公務員就職比率は、同志社大商学部の方が高い数字が出ており、公務員就職では優位に立っている。ただし、大きな差ではない。

<主要な就職先の比較>

同志社大学
商学部
関西学院大学
商学部
三井住友銀行三井住友銀行
三菱東京UFJ銀行みずほフィナンシャルグループ
日本生命保険日本生命保険
京都銀行池田泉州銀行
みずほフィナンシャルグループ
東京海上日動火災保険
国家公務員
りそなグループ
南都銀行
損害保険ジャパン日本興亜
※同志社大のデータは文系学部全体のデータ

 主要就職先は、同志社大と関西学院大商学部とも大手金融機関が多く、明確な差は感じられない(なお、同志社大の就職先リストは「文系学部全体」のデータとなっている)。
 両者とも就職実績は良好といえよう。

<出世した先輩の多さ>
 先輩がどの程度、出世しているかを比較すると、僅差であるものの、同志社大商学部に軍配が上がる。半ば都市伝説として語られることも多い「学閥」であるが、もし存在するのであればその大学の出身者は有利になる。一方で「学閥」が実際はないのであれば、先輩たちが実力で出世していったということにもなり、その大学の出身者が周りから高く評価されていることにもなる。そういう意味で、「上場企業の役員になりやすさ」等は同志社大商学部の方が高く、もし出世を期待するのであれば同志社大学商学部の方が少しは有利かもしれない。もちろん、企業によって事情は異なるし、関西学院大商学部だからといって不利になることはないだろうが、あくまでも「少しは」といった程度である。

<上位校との差について>
 両大学ともメガバンクなど大手金融機関に就職する人が多いが、それらの企業で出世したいのであれば、浪人してでも東大・京大・阪大・神大などに頑張って入った方がいいかもしれない。大手金融機関の中には、入社時よりランク付けがなされており、早慶MARCH・関関同立出身者が出世できる可能性が低くなっており、いわゆる現場の「ソルジャー部隊」として重宝されているに過ぎないといった現実もある。入学前からこのようなことを考えるのは難しいだろうが、就職活動時にも、このことは気に留めておいた方がよいだろう。


<どちらの大学が頑張って「改革」しているか>

項目名数値
単位
数値年度同志社大学
商学部
関西学院大学
商学部
国からの特別補助金支給額
(千円)
大学2015583,280639,494
学生一人当たり
特別補助金支給額(千円)
大学20152228

 大学教育の現場では、随分前から「改革の必要性」が叫ばれている(大手大学ほど、その改革が進んでいないともいわれる…)。その観点でどちらが頑張って「改革」しているかを、最後に見てみたい。扱うデータは、改革を行っている大学に国から支給される「特別補助金」の額である。
 この数値を比較すると、関西学院大が勝っており、改革で先行しているイメージがある。
 なお、大学通信社による2014年度「改革力が高い大学」ランキング(進学校の進路指導教員が投票することで選定)においては、同志社大が17位(21ポイント)、関西学院大はランク外(51位以下、6ポイント以下)であり、高校現場の印象では、同志社大の改革イメージが強いようだ。

<まとめ>
 以上、同志社大商学部と関西学院大商学部を比較してみてきた。全体としては、同志社大商学部が優位であると言える。キャンパスライフでは互角であるが、入学時の学力と就職実績で差が見られる。
 ただし、同志社大商学部のST比が極めて高かったりと、学部単体としては他の学部にはあまり見られないマイナスポイントも見受けられる。今後、これらの数値がどうなってくか注目したいところではある。