2017年7月11日火曜日

私立大学の国際化ランキング(奨学金付きの留学実績比較)

今回は趣向を変えて、学部ごとではなく、大学ごとの対決結果をお示ししたい。

比較の観点は、国を挙げて推し進めている「留学」にフォーカスしたい。
扱うデータは、「トビタテ!留学JAPAN」の合格者数である。
「トビタテ!留学JAPAN」とは、官民協働の留学促進キャンペーンであり、年間約1500名の高校生と大学生に返済不要の留学奨学金を給付するという大盤振る舞い企画のことである。この制度を使えば、学生はほとんど無料で海外に長期留学できる。

この企画の合格者数を、各大学の在籍学生数で割って、実績についてランキング化してみた。

今回、この数値を比較する大きな理由は「偏差値は一切関係なしの勝負結果」であるという点である。
大学ごとの枠は一切なく、横一線で勝負をした結果で、大学によってはかなりシビアな評価結果ともいえる。

まず最初は、10名以上の合格者を輩出した私立大学のランキングをお示ししたい。


トビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラムの合格学生数(1期~5期)
大学名合格学生数在籍学生数合格学生の割合
四国大1022000.46%
津田塾大1128210.39%
国際基督教大1129760.37%
創価大2080200.25%
慶應義塾大79335000.24%
上智大33140260.24%
早稲田大72504390.14%
立命館アジア太平洋大858100.14%
芝浦工業大1183950.13%
中央大30265890.11%
明治大27333100.08%
関西学院大18245460.07%
立教大15206110.07%
東京理科大12196970.06%
同志社大15294590.05%
法政大14303640.05%
東洋大12304840.04%
立命館大12355290.03%
(8名以上合格者を輩出している私立大学のみ抜粋)

このランキングを見て感じるのは、上位大学の健闘である。
特に四国大学は偏差値面では無名大学に近い中、かなりの実績を残しているといえる。

慶應、上智、早稲田あたりは順当な数値であるが、興味深いのはMARCH、関関同立の順位である。

中央>明治>関西学院>立教>同志社>法政>立命館>学習院>関西>青山学院

この序列は、いわゆる「偏差値」の序列とはやや異なるような印象があり、国際化については、各大学の明暗がはっきりしているということができるだろう。

次に、合格者数が低迷している大学についても可視化してみようと思う。
以下は、有名大学であるが、合格者数が低迷している大学をランキング化したものだ。

トビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラムの合格学生数(1期~5期)

大学名合格学生数在籍学生数合格学生の割合
学習院大390460.03%
京都産業大4129960.03%
西南学院大283150.02%
関西大5303470.02%
青山学院大3189750.02%
近畿大4332730.01%
甲南大192560.01%
南山大196720.01%
龍谷大2198960.01%
日本大5706770.01%
専修大1194060.01%
駒澤大015168-

学生数の多寡を考慮しても、このランキングで下位でとなっている大学は、辛辣な言い方をすれば、留学政策の負け組とも言っていいだろう。
「大学生の間に長期留学をしたい」と考えており、その優先度が高い場合は以下の大学は避けた方が無難かもしれない。

また、上記のランキングは、くしくも「偏差値」の有用性も示している。
東洋大は例外であるが、いわゆる日東駒専・産近甲龍は、MARCH・関関同立との差がみられる。
同じく、MARCH・関関同立は早慶上智との差がみられる。
偏差値の高い大学は優秀な学生が集い、優秀な学生は活発な学生生活を送り、自分の希望する進路に進める可能性が高いというのは、不変の事実であると思われる。

一方で、四国大や創価大、芝浦工大は偏差値の割りに高い実績を残している事実はどう説明するか?という疑問があるかもしれない。この問いに対しては、「小規模・中規模大学は極端な留学促進政策がとりやすいこと」が一つの要因として考えられる。
大規模大学は、その規模がゆえに、特定の学生に偏った支援策は打ち出しにくく、施策が全学的にまんべんのない支援策になりやすい傾向がある。
上位にきている小規模・中規模大は素晴らしい実績を残しているが、大規模大学からしてみれば「例外」としてとらえても良いのではないかと思われる(戦うステージがやや異なるという意味で)。