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「入学段階では、どちらが優秀な学生が集まっているか」
項目名 | 数値単位 | 数値年度 | 明治大学 商学部 | 立教大学 経営学部 |
大学全体の学部生数(人) | 大学 | 2015 | 30538 | 19481 |
学部の学生数(人) | 学部 | 2015 | 4441 | 1633 |
入試難易度(河合塾) | 学部 | 2016 | 60 | 65 |
入試難易度(駿台) | 学部 | 2016 | 56 | 57 |
入試難易度(ベネッセ) | 学部 | 2016 | 71 | 73 |
入学者数(人) | 学部 | 2016 | 1051 | 374 |
競争入試での入学者(人) | 学部 | 2016 | 759 | 147 |
競争入試の割合(%) | 学部 | 2016 | 72.20% | 39.30% |
入試方式の数(競争入試) | 学部 | 2015 | 6 | 5 |
現役入学者の比率(%) | 学部 | 2016 | 80.9 | 数値なし |
入試難易度は3社とも立教大経営学部の方が上の数値を出している。
ただし、立教大経営学部の「競争入試の割合」が低いのが気になる。また、「入学定員」は明治大商学部の方が多い。
よって偏差値を公平に判断すると、立教大経営学部の偏差値は高めに出る傾向があり、一方の明治大商学部は低めにでる傾向がある。
「入学段階では、どちらが優秀な学生が集まっているか」という観点では、立教大経営学部が優位とはいえるが、差は大きくないと言っていいだろう。
「費用対効果はどちらが高いか」
項目名 | 数値単位 | 数値年度 | 明治大学 商学部 | 立教大学 経営学部 |
4年間でかかる学費(万円) | 学部 | 2015 | 424 | 464 |
学生還元率(%) | 大学 | 2015 | 52.90% | 38.40% |
奨学費(円) | 大学 | 2015 | 1,382,901,203 | 680,670,582 |
学生一人当たりの奨学費(円) | 大学 | 2015 | 45285 | 34940 |
卒業率(%) | 学部 | 2014 | 83.5 | 76.6 |
最寄駅の平均家賃(万円) | 2016 | 和泉5.5~6、 駿河台8.5~9 | 6.5~7 |
4年間でかかる学費については、立教大経営学部が40万円ほど高い(学科や専攻によって学費が違う可能性があるため、詳細な比較は各大学のホームページをご確認いただきたい)。
一方で、学生還元率や一人当たりの奨学費も明治大が優位であり、「学生が払った学費をどれだけ学生のために使っているか」という観点からも、明治大に軍配が上がる。
また、キャンパス周辺の家賃を考えてみても、コスト的には明治大の方が割安となることが予想される(両大学の場合、徒歩圏内に住むケースは少ないであろうが、大学と住居が近ければ利便性も高く、充実した学生生活になる可能性が高いという考えからこの家賃相場を比較している)。
留年リスク(4年間で卒業できない比率)については、立教が7%ほど高い。それなりの差があるため、参考にはなる数値であろう(言うまでもなく、留年した場合には余計に学費がかかる)。
このように、コスト面でも明治大に軍配が上がるということになる。もし、地方出身者で、経済的に苦学生となることが想定されるのであれば、明治大商学部を選んだ方が無難かもしれない。
「どちらの大学が充実した学生生活を過ごせるか」
項目名 | 数値単位 | 数値年度 | 明治大学 商学部 | 立教大学 経営学部 |
キャンパス | 学部 | 2016 | 和泉 (1~2年) 【中間型】、 駿河台 (3~4年) 【都市型】 | 池袋【都市型】 |
1年以内退学率(%) | 学部 | 2014 | 1.3 | 0.8 |
4年間退学率(%) | 学部 | 2014 | 3.3 | 3.4 |
入学者の地元占有率(%) | 学部 | 2016 | 38.7 | 数値なし |
大学全体の首都圏出身比率(%) | 大学 | 2015 | 63.9 | 73.3 |
女子入学者の割合(%) | 学部 | 2016 | 32.1 | 49 |
大学全体の女子学生数(人) | 大学 | 2016 | 10545 | 10377 |
大学全体の男子学生数(人) | 大学 | 2016 | 20289 | 9069 |
大学全体の女子学生比率(%) | 大学 | 2016 | 34.20% | 53.40% |
女性ファッション誌 登場人数(人) | 大学 | 2011 | 5 | 120 |
受入留学生数(人) | 学部 | 2015 | 116 | 41 |
留学生比率 (留学生数/全学生数) | 学部 | 2016 | 2.60% | 2.50% |
長期留学派遣学生数(人) | 大学 | 2015 | 86 | 121 |
長期留学派遣の割合(%) | 大学 | 2015 | 1.10% | 2.50% |
ST比(人) | 学部 | 2015 | 43.1 | 52.7 |
専任教員数(人) | 学部 | 2015 | 103 | 31 |
一人当たり貸出冊数(冊) | 大学 | 2015 | 9.6 | 10.3 |
<キャンパスの立地>
明治大商学部は1、2年と3、4年でキャンパスが変わる。1、2年次の和泉キャンパスは新宿から京王線特急で1駅と交通の便は良く、学生街として環境は整っている。
3年次以降の駿河台は都心部にあるものの、昔ながらの神田学生街の中心となっており、不便はないといえる。
一方の立教大経営学部は、巨大ターミナル駅である池袋駅から徒歩7分の抜群の立地。立教大のイメージと違い、池袋にオシャレなイメージはあまりないが、その分、物価面などで学生にとっては過ごしやすい街かもしれない。
キャンパスの立地については、甲乙つけがたいが、とても大きな街(新宿、渋谷、池袋)へのあこがれが強いのであれば、池袋にキャンパスを構える立教大を選択した方が後悔がないかもしれない。逆に、都会の喧騒が苦手なのであれば、明治大の方が少しは静かかもしれない(大きな差はないが…)。
<ドロップアウトリスク>
続いて、誰しも避けては通れない、ドロップアウトのリスク。せっかく頑張って勉強して大学に入学したのに、退学してしまっては元も子もない。双方とも大規模大学であるため、退学率は注視すべきデータであるが、1年退学率は立教大経営学部の方が低く、4年退学率は明治大商学部が低い。互角といっていいだろう。
なお、大学通信社による2016年度「面倒見が良い大学」ランキング(進学校の進路指導教員にアンケートを行って選定)においては、明治大が4位(117ポイント)、立教大が23位(28ポイント)となっており、高校教育の現場においては、明治大の方が「面倒見が良い」という印象があるようだ。
<学生の属性>
学生の属性を比較していくと、目につくのは、立教大の女子学生比率の高さだ。多くの大学において、ビジネス系の学部では男子学生が多いのが一般的であるが、立教大経営学部においては約半数が女子学生である。女子にとっては仲間が多いと考えるか、ライバルが多い?と考えるかでそれぞれの考え方はあるだろうが、女性が多いことでキャンパス内、教室内の雰囲気が華やかであることは間違いない事実だろう。
もっとも明治大において、女子学生と交流する機会が少ないかというと、そこまでは言えず、例えばサークル活動などでは近隣の女子大などとインカレサークル(合同サークル)を立ち上げていたりするので、課外での交流機会に大差はないだろう。ここで言うのはあくまで、キャンパス内、教室内の女性比率の話である。
一方で、明治大は、地方出身者が立教大と比べて多い特徴がある。地方出身者にとっては、明治大の方が同郷の仲間がいる可能性が高く、学生の輪に溶け込みやすい可能性はある。
なお、留学生比率については、ほとんど変わらず、国際色豊かな教育環境という意味では、互角といえる。
<教育面>
教育面を比較していくと、現在、各大学が競うように力を入れている「留学」については、立教大に軍配が上がる。長期留学している学生の割合が2倍以上の開きがあるからだ。先輩の学生が留学に行っている割合が多ければ、自然と留学が身近になるため、もし留学をしたいと考えているのであれば、一つの判断材料にはなりうる。
一方で、専任教員一人当たりの学生数(ST比)は、明治大の方が低く、明治大の方が「少人数教育」の環境が整っているといえる(コスト面の学生還元率の高さなど、こういう面で、明治大の「着実さ」が現れているのは興味深い)。
なお、学生がどれだけ勉強しているかの指標の一つである「一人当たりの貸出冊数」については、ほぼ互角という数字が出ている。
実際の教育効果については、比較が難しいが、大学通信社が進学校の進路指導教員に「進学して伸びた大学」と「進学して伸び悩んだ大学」をアンケートしている。
2014年10月に実施したアンケートでは、「進学して伸びた」と答えた数は、明治大が26人、立教大が16人、一方で「進学して伸び悩んだ」と答えた数は、明治大が19人、立教大が4人であり、高校側の印象では、互角といったところか。
その他の比較としては、同じく大学通信社による2014年度「入学後、生徒の満足度が高い大学」ランキング(進学校の進路指導教員が投票することで選定)において、明治大は6位(86ポイント)、立教大は13位(47ポイント)となっている。こちらでは、明治大がやや優位のようだ。
上記を総合すると、充実したキャンパスライフという観点から見ると、ほぼ互角か、もしくは僅かばかり立教大経営学部が優勢のような印象を受ける。
「どちらが幸せな人生を送れる進路に進めるか」
項目名 | 数値単位 | 数値年度 | 明治大学 商学部 | 立教大学 経営学部 |
主要企業400社への就職率(%) | 大学 | 2016 | 26.7 | 28.3 |
卒業生数(人) | 学部 | 2015 | 1,028 | 393 |
進学者数(人) | 学部 | 2015 | 10 | 10 |
進学率(%) | 学部 | 2015 | 1.00% | 2.50% |
公務員就職者数(人) | 学部 | 2015 | 55 | 4 |
公務員就職比率(%) | 学部 | 2015 | 5.40% | 1.00% |
警察官就職者数(人) | 大学 | 2015 | 36 | 12 |
国家公務員総合職(人) | 大学 | 2015 | 25 | 3 |
CA採用数(人) | 大学 | 2014 | 11 | 24 |
国会議員の数(人) | 大学 | 2015 | 16 | 5 |
上場企業の社長数(人) | 学部 | 2006 | 14 | 数値なし (5人以下) |
社長の数(人) | 大学 | 2015 | 9,580 | 4,023 |
社長になりやすさ (社長の数/学生数) | 大学 | 2015 | 0.31 | 0.21 |
上場企業の役員数(人) | 学部 | 2006 | 141 | 数値なし (46人以下) |
上場企業の役員数(人) | 大学 | 2015 | 650 | 250 |
上場企業の役員になりやすさ (上場企業役員数/学生数) | 大学 | 2015 | 0.021 | 0.013 |
<大企業に入りたい>
大企業社員として就職すれば、身分は安定し、給与・福利厚生などの待遇面での心配も少ない。その意味で、主要400社への就職率を比較材料として示しているが、ほぼ互角という数字が出ている。ただし、男子学生のみで考えると、明治大の方がやや優位かもしれない。というもの、主要400社の就職率データには「一般職」での就職が含まれており、その場合は「総合職」より入社しやすい傾向がある。立教大は先述の通り、女子学生が特に多く、この数字が高く出やすい。そのため、男子学生で「一般職」を選ぶケースはほぼないと考えられることから、「総合職」として400社に就職できる可能性は、明治大の方がやや高いような気がする。
もっとも、いわゆる「学歴フィルター」の対象としては、明治大商学部と立教大経営学部で差がつくことは考えられないため、いかに充実した(中身のある)大学生活を送るかによって、大企業に就職できるか・できないかは変わってくる。大企業に就職したいからという理由で明治大商学部を選ぶ判断材料にはなりえないだろう。
<公認会計士になりたい>
ビジネス系の学部を選ぶのであれば、難関資格である公認会計士を目指す人もいるかもしれない。明治大は毎年70名程度の合格者を輩出しており、立教大と比べて優位を誇っている。公認会計士を目指すなら明治大が良いだろう。
<公務員になりたい>
学部単体の公務員就職比率は、明治大商学部の方が高い数字が出ており、明治大商学部の方が優位である。
いわゆるキャリア官僚職「国家公務員総合職」を目指すのであれば、明治大の方がいいだろう。官僚OBの数の違いもあれば、官僚を目指す仲間の存在も大きいからだ。
そのほか、警察官などになりたい場合も、同じ理由で明治大の方がいいかもしれない。
<主要な就職先の比較>
明治大学 商学部 | 立教大学 経営学部 |
みずほフィナンシャルグループ | 日本IBM |
三菱東京UFJ銀行 | みずほフィナンシャルグループ |
りそなグループ | 損害保険ジャパン日本興亜 |
国家公務員 | ワークスアプリケーションズ |
東京都特別区 | ヤフー |
日本郵政グループ | 三菱東京UFJ銀行 |
横浜銀行 | 三井住友海上火災保険 |
損害保険ジャパン日本興亜 | ソフトバンクグループ |
三井住友銀行 | 楽天 |
ワークスアプリケーションズ | いすゞ自動車 |
主要就職先は、明治大商学部と立教大経営学部の双方とも、大手金融機関が多くなっているが、明治大商学部は公務員、立教大経営学部はIT系企業が目立つ。同じ学問系統かつ同偏差値でここまで業界差が見られるのは珍しく、一つの判断材料になるかもしれない。
<出世した先輩の多さ>
先輩がどの程度、出世しているかを比較すると、明治大商学部に軍配が上がる。半ば都市伝説として語られることも多い「学閥」であるが、もし存在するのであればその大学の出身者は有利になる。一方で「学閥」が実際はないのであれば、先輩たちが実力で出世していったということにもなり、その大学の出身者が周りから高く評価されていることにもなる。そういう意味で、「上場企業の役員になりやすさ」等は明治大商学部の方が高く、もし出世を期待するのであれば明治大商学部の方が少しは有利かもしれない。もちろん、企業によって事情は異なるし、立教大経営学部だからといって不利になることはないだろうが、あくまでも「少しは」といった程度である。
<上位校との差について>
前述のように、双方の大学とも就職実績については良好といえる。しかし一方で、「早慶」との学歴フィルターの差の存在も忘れてはいけない。入社試験を受けるエントリー段階では公平であっても、いざ採用実績となるとMARCHがほとんど入っていないケースが、総合商社などに見られる。そういった企業を目指すのであれば、一浪してでも早慶などにチャレンジした方がいいという判断もありうる。
また、両大学ともメガバンクなど大手金融機関に就職する人が多いが、それらの企業で出世したいのであれば、浪人してでも東大や一橋などに頑張って入った方がいいかもしれない。大手金融機関の中には、入社時よりランク付けがなされており、早慶MARCH出身者が出世できる可能性が低くなっており、いわゆる現場の「ソルジャー部隊」として重宝されているに過ぎないといった現実もある。入学前からこのようなことを考えるのは難しいだろうが、就職活動時にも、このことは気に留めておいた方がよいだろう。
<どちらの大学が頑張って「改革」しているか>
項目名 | 数値単位 | 数値年度 | 明治大学 商学部 | 立教大学 経営学部 |
国からの特別補助金支給額 (千円) | 大学 | 2015 | 738,498 | 391,199 |
学生一人当たり 特別補助金支給額(千円) | 大学 | 2015 | 24 | 20 |
大学教育の現場では、随分前から「改革の必要性」が叫ばれている(大手大学ほど、その改革が進んでいないともいわれる…)。その観点でどちらが頑張って「改革」しているかを、最後に見てみたい。ここで比較するデータは、改革を行っている大学に国から支給される「特別補助金」の額である。
この数値を比較すると、やや明治大の方が優勢といえる。
また、大学通信社による2016年度「改革力が高い大学」ランキング(進学校の進路指導教員が投票することで選定)においては、明治大が6位(130ポイント)、立教大が9位(58ポイント)と、高校現場の印象でも、明治大が勝っているといえよう。
<まとめ>
以上、明治大商学部と立教大経営学部を比較してみてきたが、全体の印象としては立教大経営学部の方がやや優位と感じられる。
ただし、就職面では明治大商学部の強さも目立つため、実際の判断は難しいかもしれない。